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日々は過ぎる

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次の日、大蛇丸はもうすぐ夕方になるほどの時刻に起きた。

大蛇丸は夜が好きだ。
闇の中に見をしずめていると、神経が研ぎ澄まされていく。
孤独を煽るように月が見下ろしてくる。
その感覚がすきなのだ。

なので彼の毎日の生活は完全夜型になっている。
夜明けの頃ねむり、日が沈む頃起きる。

今日もそのリズムで目を覚ます。
「お目覚めですか、大蛇丸様。」
「おはよう、カブト。」
身を起こすと、目の前には大蛇丸の部下のカブトがいた。
微笑んでいる彼がいつ眠っているのか、大蛇丸は知らない。

「何か食べます?」
「いいえ。すぐ出かけるから。」
身支度を整えながらいうと、カブトは少しだけ表情を険しくした。

「彼女ですか?」
「ええ・・・。もう気配がしてるわ。待たせちゃ悪いでしょう?」
ギュッと帯をしめると、大蛇丸は隠れ家を出ようと足を進める。
カブトは後ろから呼びかけるように話した。

「まさか本当にあなたの『勘』があたるとは思いませんでしたよ。」
「カブト。」
大蛇丸は暖簾をめくると、首を彼にむける。
「サクラのことで問題がおこったら私が片付ける。」
「・・・・・・。」

カブトは思わず言葉を発せなかった。
心配の種を先回りして気づかれてしまったからだ。
「あなたは心配しなくていいわよ。それじゃあ。」
カブトはただただその背中を見送るしか出来なかった。


「・・・大蛇丸・・・?」
「昨日よりは気配が察知できるようになったわね。」
背後から姿をあらわすと、少女はゆっくりと振りむいた。

任務からそのまま来たらしいサクラは、大きな切りかぶに座っていた。
大蛇丸は足音も立てずに近づく。
サクラは逃げることなどしないで、じっと向かってくる男を見ている。

「あんたのこと、カカシ先生に話したわ。」
「・・・。」
大蛇丸は黙って聞いている。

「すぐに暗部たちがあんたを捕まえにやってくるわよ。」
「ウソでしょ。」
「・・・。」
今度はサクラが黙る。
大蛇丸はサクラの横に腰を下ろす。

「サクラは頭がいいわね。」
「・・・。」
「誰も私を捕まえられないとわかってるんでしょう?」

やはりサクラは答えない。
大蛇丸は気にせず続ける。
「そのとおりよ。誰が来ても・・・それが暗部でも、私には一瞬で殺せるわ。」
「・・・。」
「けど、誰も私を殺せない。」

黙っていたサクラが口をひらいた。
「違うわ。」
大蛇丸はその言葉にも驚く様子はない。
そしてこばかにしたような笑みを浮かべる。

「違う?」
大蛇丸は黒い髪をかきあげた。
「じゃあ、誰が私を殺すの?」


「私よ。」
その言葉に、迷いは一切感じられなかった。
髪をかきあげた手のまま、大蛇丸はサクラを見つめる。
「私が、必ずあんたを殺してやる。」
大蛇丸はサクラの真剣な眼差しをみつめてから、口元をゆがめて笑った。

「あなたが私を殺す?ふふ・・・。」
「何がおかしいのよ!」
「いいえ。ごめんなさい。可笑しくなんてないわ。」
そういってから目を森へと移す。
 
確かに・・・。
今、この私に隙をつくることができるのは、サクラくらいだわ。
・・・ならば。
 
大蛇丸はまた「ふふ」と笑みをもらした。
サクラは余計にむっとする。

サクラは誰よりも、私を殺せる可能性が高い。

「どうして笑うのよ・・・。」
「あらあら。拗ねないでちょうだい、サクラ。謝るから。」
「子供扱いして・・。」
さらに拗ねるサクラに、大蛇丸は穏やかに微笑む。
どうもサクラと出会ってから、笑う数が多くなったようだ。

「もうじき夜ね。早く帰ったほうがいいわ。」
「・・・・・・。」
大蛇丸のその言葉に、サクラはなんだか寂しそうな顔をする。

それをみて、大蛇丸は再び笑ってしまった。
「明日も、私はここへくるわよ?」
サクラの表情が、ぱっと明るくなる。それから慌てたように表情を戻した。

「私は、修行しにここにくるんだからね。」
「はいはい。わかってるわよ。」
子供をあやすようにいってやる。
「それじゃあ、また明日!」
「!」

サクラの背中が見えなくなってから、大蛇丸は木へと寄りかかった。
その顔は赤い。
「まいったわね。」
頭に、さっきのサクラの顔が浮かぶ。

「初めてサクラの笑顔をみたくらいで・・・胸を打たれるなんて。」
本当に、サクラなら私を殺せるかもね。
でもまあ・・・それなら本望かしら?
大蛇丸は自嘲してから、自分も隠れ家へと戻っていった。



本当は『出会いは偶然』『別れは必然』の2つのはずでしたが、長くなったので3本で。
そんなわけで急遽『前・中・後』になったわけですが・・・。
出会いは偶然、別れは必然・・・。

その間はなんだ!?
大分迷った末に『日々は過ぎる』になりましたが、正直あってませんね。(汗)
機会があれば・・・他の題にしてみたいです。(多分しないと思いますが)
初の大蛇サクということで慎重にやっていきたいと思ってたんですが。
何やら適当だな・・・。

『別れは必然』を読む。→
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