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本日はお泊り日和

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今日は、いいことが続いていた。

任務もいつもとは違い、少し難易度が高いものだったし、十分動けた。
アカデミーで仲良かった連中と偶然会って、話もはずんだ。
図書館に寄ればいつも貸し出し中の本をかりることが出来た。

とにかく、おれは上機嫌だった。

はやく家に帰って本を読もう。今日は無理な修行はしないで風呂に入って早く寝よう。
そんなことを考えながら、うっすらとオレンジになりかけた空の中、家への道を進んでいた。

まさか、家の無駄に大きい門の前に、彼女がいるなんて夢にも思わずに。

門がみえてくると、誰かがいるということがすぐにわかった。
遠くからでもわかる桃色の頭。
それは・・・

「サササ、サクラ!?」

仰天した声に、彼女はゆっくりと振り向いた。
遠目にもわかる髪がゆれて、大きな翡翠の目がこちらに動いた。
「サスケくん!」

思いがけない人物に、おれは驚きながらサクラに駆け寄る。
サクラはおれが来ると、ぺロリと舌を出して微笑んだ。
「来ちゃった。」
「き、来ちゃったって、おまえな・・・。何のようなんだ?」
「荷物見て、わかるでしょ。」

そうだ。
ただサクラが家の前にいるだけなら、こんなにも驚かない。
問題は、サクラの背中より2回りもある大きさのリュックサックとトランクにあった。

「・・・まさか。」
「うん。今日、泊めてほしいんだけど。」

何考えてるんだ!
と叫びたい気持ちもあったが、こちらをコソコソ見ながら通る人をみると、それも出来なかった。
「とりあえず、中はいれ。」
「ありがとう。」

入り口を促すようにすると、サクラは嬉しそうに玄関へあがった。
「お邪魔します・・・わぁ、すっごい!広ーい!」
きちんと靴を並べると、どこまでも続くかのような廊下にサクラは感嘆の声をあげた。

「ね、ね。どこがサスケくんの部屋?」
「黙ってろ。あんまりキョロキョロするな。」
はしゃいでいるサクラに少しきつく言っておく。
理由はなんてことない。
おれの家に女があがりこむなんて、初めてなのだ。
だからつまり。ガラでもないが、おれ自身少し緊張していた。

それを紛らわすための注意だったのに、サクラはとたんにしゅんとなってしまう。
「あ、お、こ、ここが客間だ。」

元気を無くしてしまったサクラにおれは慌てながら説明してみたが、妙にどもってしまった。
サクラはそれに気づいたのか、クスリ、と小さく笑った。

・・・かっこわりぃ。
馬鹿かおれは。

ちくしょう、と思いながら客間へはいると、サクラもつられるようについてきた。
さりげなく座布団をわたすと、サクラは行儀よくちょこんと座る。
なんだか人形みたいだ。

「で、今日はなんの用なんだ?」
おれもサクラに向かい合うように座る。
はたからみればおかしな状況だが、本人達はいたって真面目だ。

「うん。そうそう。今日、泊めてほしいんだけど。」
さっきもだったが、耳を疑った。一瞬きき間違えだとも思った。
サクラの口調はまるで、
 
『今日、いい天気だね。』

というのと同じだったのだ。

「サスケくん?」
思わず思考がフリーズしてると、サクラは首をかしげながらおれの顔を覗き込む。
びっくりするほど近い顔に、心臓はつきぬかれたように高鳴った。

「・・・おまえ、本気でいってるのか?」
自分のペースを壊さないように、あえて逆に顔を覗き込んでやる。
翡翠の目とガッチリ目が合い、やはり先に目をはずしたのはおれになった。

「うん。今日ね、お父さんとお母さん、両方ともいないのよ。」
サクラは一生懸命、という感じに話す。
けど、おれの頭はサクラの瞳に釘付けになっていた。

「それで、いのの家に泊まるはずだったんだけど、いの、任務が長引いて向こうに泊まるんですって。」
あんまりにも家の庭が広いから、今日だけじゃ草むしりおわらなかったんだってよ。

それでも、おれときたら、『こいつ、まつげ長いな・・・』とか思っていたせいで、半分くらいしかきいてなかった。

「サスケくん?きいてるの?」
「うお、あ、き、・・・聞いてる。」
またしても顔を覗き込まれた。しかも、今度は不意打ちだ。
顔が赤くなってしまったのがわかる。慌てて立ち上がって急須にお茶の葉をいれた。

「あ、お茶なら私やるよ?」
「いや、いい。話を続けてくれ。」
・・・本当なら、冷たい水が欲しいところだ。

「そう?えっと、どこまで話したっけ?あ、そうそう。だから、今日、サスケくんの家に泊めて欲しいの。」

やはりそうきたか。
と思ったつもりだが、どうしても動揺は隠せず、手に高温のお湯を少しかけてしまった。
「あつっ!!」
「だ、大丈夫!?やっぱり私やるわよ。」
おれの声にサクラは慌ててとんでくると、素早い手つきで水道の水におれの手をつける。
それからやんわりと客用の茶碗にお茶を注いだ。

「手、大丈夫?」
「こんなの、なんでもない。」
少し赤くなった手をさりげなく隠しながら再び座る。
サクラも両手で茶碗を支えながらゆっくりと座ると、ふーふーとさましながらお茶をすすった。

「おいしい、この緑茶。」
「そんなことはどうでもいい。話の続きだが・・・。」
サクラは茶碗を机の上におくと、じっとおれに向き合う。
対峙してるかのように、じりじりした圧迫感があって、おれは冷や汗を流した。

「だからね。急で悪いんだけど、泊めて欲しいの。」
「・・・な、なんでおれなんだ?」
泊めて、という言葉を聞くのは今日で4回目だったが、まだ反応は隠せなかった。

それにしてもおればかりワタワタしている。サクラはなんだってこんなに冷静なんだ。

「仮にも、男と女だぞ?」
忠告、といわんばかり様子をうかがいながら言う。
が、サクラはにこにこしながら笑った。
「やだぁ、大げさなんだから、サスケくんったら!」

判明した。サクラは、何も考えてない。大丈夫か!?

「あ、ダメならちゃんと言ってね?無理に泊まったりしないから。」

その言葉をきくと、ほっとする安心感と、なんだかもったいないような、残念なような複雑な気持ちがよぎった。

引きとめようと思っても、まだ歯止めがかかっている。
しかし、その歯止めは、次の言葉で消えてなくなった。

「ダメなら、ナルトの家に泊めてもらうから、大丈夫よ。」

サクラはうちに泊める。

瞬間、おれの心は決まった。



初キリのリクエスト!!500キリです。
なのに、いきなり続きものかよぉ!!(涙)
お題は、『サスケの家にお泊りに来るサクラちゃん』vv
本当にいいリクエストをありがとうございます!!
スランプ抜けのきっかけになりました!
あず様、リクありがとうございましたぁ!

ねくすと→

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