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本日はお泊り日和 後編

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サクラはうちに泊める。
とはいったものの、『2人だけ』の時間というのはとてつもなく緊張するものだった。
何をするわけでもなく、たいした会話をするわけでもなく。
かれこれ1時間くらい、2人でならんでテレビをみている。

最初の30分くらいはサクラが楽しそうに1人で話していたが、おれからの返答がないとわかると大人しくなった。

やっぱり・・・・退屈、だよな?

目はテレビに向いているが、頭は目線の端にみえるサクラでいっぱいになっている。
多分今、『あーあ。ナルトの家に泊まるんだったなあ・・・。』
とか思ってるんだろうな。

まずい。
とにかく、まずい。何か言わなければ。
サクラを退屈させるわけにはいかない。なぜだかは、よくわからないが・・・。

頭がぐるぐる回転する。何か言わなければ。

(このテレビ、おもしろいな。)
とか・・・。いやいや。
『こんなベタなお笑い番組がおもしろいなんて、サスケくんっぽくなーい。幻滅ー。』
なんてことになったら困る。ダメだ。次。

(みかんでも食べるか?)
これはどうだろう。みかん。・・・・なんだかおれらしくないな。むしろ・・・
(せんべえでも食うか?)
のほうがいいんじゃ・・・。いや、ちょっと待て。
すでにせんべえ食ってるじゃないか。
そういえばさっき出したんだった・・・。意味無し。却下だ。

ここはいっそのこと
(・・・2人きりだな・・・)
とか。って、おれは何を考えてるんだ!!
勘違いされちまうぞ!!誘ってるんだと思われるぞ!おい!?

いや、鈍感なサクラのことだ。そんなことはない。
きっとない。
ないならいいだろ。言っちまえ、おれ!!そーれ!そーれ!

「サ、サクラ・・・。」
いーけ!いーけ!ほら、1、2、せーの!!

「ふ・・・2人きりだな・・・。」

「そうねぇ。」
テレビから目も話さずにサクラは一言。

・・・どんまい。おれ。気にするなよ!何を期待してたんだ!
夢見るのはもうやめろ!それでもうちはの末裔かよ!
泣くなよ、おれ!畜生ーー!!

「サスケくん?」
心の中で叫んでいると、サクラが不思議そうな顔でこちらを向いた。
「なんだかさっきから変だよ?」
「そ、そうか?」
「うん。なんだか元気ないような・・・あ、そっか!!」

何か閃いたのか、サクラは嬉々とした様子でもってきた大きな荷物を探る。
取り出されたのは袋に入った様々な食材。
「泊まらせてもらうんだもの!私がごはん作るわよ!!」

とっさにおれは口を開けるが、すばやくサクラはそれをとめる。
「あー!いいのよ。遠慮なんてしなくても。おいしいカレー食べさせてあげるからね!!」
どうやら、カレーらしい。
 
・・・じゃあなぜ袋の中からネギとチクワが覗いているのだろうか・・・。

「さあ!私が料理作ってるあいだ、サスケくんは出てて!!」
サクラは自前の白いエプロンを着るとおれを部屋から追い出す。
「お風呂がたまってるから、今のうちにはいっておいてね。覗いちゃだめよ!!」

それだけいうとサクラはふすまを閉めてしまった。
しょうがない。どうも今日はペースを乱されてるからな。
風呂に入って調子を取り戻すか。

おれは着替えとタオルをとってくると風呂へ入り、体と頭を力強くこするように洗う。
それらが終わったところで丁度いい湯加減になっている風呂へとはいった。
カポーンという音がして、あたりには霧が立ち込めている。

「はあー。」
ここでようやく、おれはくつろげる。今日はなんだか緊張しっぱなしだ。

「・・・なんで緊張なんかしてるんだ。」
別にいいじゃないか。サクラがいるだけだ。いつもどおりにすれば・・・いいんだが。

「サクラは大切な仲間だ・・・。」
けど、最近なんだか違うきがする。
もちろん、大切な仲間であることにはかわりはないが、もっと何か、他の気持ちが・・・。

なんだかもやもやしてきた。
バシャッと音を立てて頭までもぐる。

1・・2・・3・・4・・5・・6・・7・・8・・・・・
限界まで、もぐりつづけた。

「っぷはぁ!はぁ、はぁ、はぁ。」
ものすごく息が乱れている。だが、少し深呼吸をするとおれは再び温かい湯へともぐりこむ。
同じように、限界まで。

何回かそれを繰り返すとさすがに苦しくなったので、おれは荒い息をしながら壁に寄りかかった。
「どうかしてるぜ・・・出よう。」


迷いなく湯からでると、持ってきたタオルで体を拭いて着替えの服を着る。
すべてを整えた頃、サクラが満面の笑みでやってきた。
「サスケくん、ごはんできたわよ。」
・・・ヤバイ。
不覚にも、『幸せ』って思っちまった・・・。


風呂から出ると、机の上にはすべに夕食がならべられていた。
「はい、がんばってつくったのよ!食べてみて!」
微笑みながらおれの食べるのをまつサクラ。

前言撤回。
今、おれは人生最大のピンチの真っ只中にいる。

目の前にあるのは、とんでもなく『酸っぱい匂い』のする『カレー』だ。
そんなに熱くは無いようだが、ポコポコとマグマのように泡が立ってははじけている。
荒切りになっている『チクワらしき白いもの』がごはんにかかっているのが、さらに食欲をなくす。

ある意味、すごい。
ちらちと視線をサクラに移す。ニコニコしているサクラはおれと目が合うとさらにニコッと笑う。
口の横のえくぼが似合うが、そんな場合ではない。

おそるおそるスプーンを持つ。
カレーを食い入るようにみると、茶色いカレーの具に毒された赤い苺を発見した。

食いたくない。逃げたい。
カレーのはいった皿を「こんなもの食えるかー!」と叫びながらひっくり返したい。

が、スプーンを持った手はうごかない。
もう一度サクラに目をやると、なかなか食べないからだろう。なんだか不安そうな顔になっていた。
それはまるで置いてきぼりにされて耳がたれ下がっている子犬のようだ。

頭の中でサクラの悲しい顔と悪夢のカレーが天秤にかけられる。
サクラの顔はみるみる大きくなるが、カレーは片隅に消えていった。

「ふっ・・・。」
冷や汗をかきながら震える声で笑うと、スプーンを握る手に力をこめて一気にカレーを口へ運んだ。
口に入れる一瞬チーズの匂いがしたが、気にならなかった。

「おいしい?サスケくん。」
ぼんやりする意識の中で、そう尋ねるサクラの声が響いた。
「す、すげぇ・・・う・・・うま・・・い・・・。」
真っ青になりながらも親指をたてて絶賛するおれを、サクラは不思議そうにながめるが、
「よかったぁ!自信作だったんだ!」
といって照れたようにはにかんだ。


なんだかんだいって、おれは死にそうになりながらもおかわりまでしてすべてのカレーを食べ尽くした。
おかしなことに、食べ終わってみると案外うまかったような気すらしてくる。
やはりそれは、嬉しそうなサクラの顔を見たからだろう。

サクラはおれが食べ終わると風呂へと入っていった。その間におれは寝巻きに(といっても普段着とたいしてかわらないが)着替えてテレビをみる。

が、内容はやはり頭に入ってこない。考えてるのは、サクラのこと・・・。

ここ最近、いや、もっと前からか。
おれのサクラに対する感情が変わってきた。それは自覚している。
だが、それが何なのかまったくわからない。

目の前で画面はチカチカ光っている。
おれ、いますげーかっこ悪いな・・・。

机に突っ伏すようにしながらため息をつくと、扉を開く音がした。
条件反射的に向けたおれの瞳は、その姿を見た瞬間にみるみる大きくなった。

「あ〜、さっぱりしたぁ。」
そこには風呂からでてきたサクラがいた。蒸気を体からうかせながら頭をふくサクラ。
一言で言う。聞き逃すなよ。

かわいい・・・。

白い肌がほんのり赤くなった頬。
赤チェックのパジャマの、2つ目のボタンをはずしているために見えている鎖骨も。
ピンクの髪からたれる雫が時々首筋を通るのも。

とても同じ歳には思えない。
女っていうのは、本当に成長が早いということをヒシヒシと実感した。

しかしサクラはそんな視線にまったく気づかずにおれの横に座った。
「サスケくんの家のお風呂、広いわよねぇ。気持ちよかったぁ。」
なんて無神経な・・・。とおれは呆れる。

と思ったが、茶碗を持った手は震えてしまい、顔が赤くなっていることが自分でわかった。
サクラはじっとおれを覗き込む。

「なんか、今日ずっとサスケくん変よ?」
さらにサクラは食い入るようにおれを凝視してから、いたって真面目な声を出した。
「顔が赤い・・・絶対熱があるのよ。」
「熱なんかあるか。」
 
ぷい、と横を向くが、サクラは「絶対にあるわよ」といって心配な表情をしている。
「風邪ってこじらすと大変なんだから。もう寝ましょう。」
いうがいなや、おれの手を引いて寝室へと連れて行く。
握られているサクラの手のあたたかさと白さにおどろき、おれはされるがままだ。

が。
寝室に行くと、布団が2つ並べられていた。サクラがしいてくれたらしい。
おれの体はそれをみた瞬間にかたまるが、サクラはまったく取り乱していない。

「さ、寝ましょ。」
とっとと布団にもぐりこむサクラに、おれはやっと我にかえる。
「ちょちょ、ちょっと待て!!」
「・・・すー・・・。」
「・・・寝るの、早・・・。」

しかたなく、おれも電気を消して布団にはいる。
横でサクラが寝返りを打った。
ああ・・・やばいよな。

今日は、本当にいいことばかり続いてる。
バクバク脈打つ鼓動を感じながら・・・。
罰でもあたらなければいいと思いながら幸せをかみしめる。

たまには、こんな日があってもいいな。

まだ幼い少年は自分の感情の正体にも気づかずに、ゆっくりと目を閉じた。



おーわった。おーわった。
あず様、こんな駄文でこんなに遅くなって本当にスイマセン(涙)
しかも無駄に長い・・・。
サクラちゃんが異常に鈍感だったり、料理が下手だったりしてます。
個人的な話ですが、サクラちゃんにはちょっぴり不器用vvであってほしい!!
料理とかなんでもできちゃう女の子っていう感じじゃないんですよ。私の中で。
だからこんなことに・・・。スイマセン(TT)
読んでくれた人もリクしてくれたあず様も、ありがとうございました!

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