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石像の話
             サスケ君のみつけた石像−1
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「よく探せよ〜。」
「フン・・・。」
「わかってるってばよ〜!」
 
役立たずの覆面上忍の声が庭に響く。それはとてつもない不快感をおれに与えた。
 
そもそもこの班がよくない。
普通なら男子2人女子1人の三人組が組まれるはずだが、上忍・カカシ率いる7班は人数の都合で男2人しかいない。
 
別に女好きというわけではないが・・・。
 
「あ〜!もう!人形なんてどこにもないってばよー!」
 
今日7班は、金持ちの娘が庭でおとしたというマスコット、ド●モ君人形を探している。
だが、その庭というのがとことんただっ広いのである。
しかも背丈ほどある花やら葉やらがそこらじゅうに生えきっている。これでは人形が見つかる可能性は宝クジにあたるよりずっと低い。
 
「カカシ先生も手伝うってばよー!1人で本なんか読みやがって!」
「・・・同感だ」
俺達は探すのをいったん止めてカカシに講義する。
第一、部下に全部やらせて1人だけ本(しかもイチャパラ)を読むなんて、都合がよすぎるのだ。
しかし。
「はあ〜。」
カカシは口元をイチャパラでおさえながらため息をついた。
 
「本っっ当にかわいくないよな〜、お前達って。」
 
「ひどいってばよー!カカシ先生!」
ナルトはジタバタしているが、おれはクナイを取り出してカカシに向かう。
「殺す!!」
「わー!落ち着くってばよ!サスケ!」
「はなせ、ナルト!」
がっとナルトに後ろからおさえつけられ、今度はおれがジタバタする。
カカシはそんなおれたちに見向きもしないでスタスタとどっかへ行ってしまう。
 
「くっ!おい、はなせナルト!」
ナルトの手をはずして、おれはさっきまで探していたほうへと歩き出す。
 
「ちくしょう!!」
ドカッと近くにあった木を蹴り飛ばす。いま、おれの怒りのボルテージは最高潮にある。
 
せめてこの班に女がいたら。
さっきもいったが、別に女好きなわけではない。
だが、もしこの班に女がいたら、カカシだってあんな挑発的な態度はとらないだろう。
 
多少できるやつだと尚いい。ただし、うざったいのとえらそうなのはお断りだ。
任務の足を引っ張らず、目立った行動をしない。適当にカカシの機嫌を取る。
そんな女がいればいいのに。
 
「・・・探すか。」
途方もなく続く庭に向かって呟く。
あってもなくても、おれにとってはどうでもいいドー●君人形を見つけようと一本の花に手をかけたとき。
 
「おーい!あったってばよーーー!!!」
 
まさか、この庭でそんなにはやく!?
無駄にでかい声で叫んでいるナルトの元へ、おれは全速力で駆け出していった。
 
「へへへ。」
得意げに●ーモ君人形をもって頭をかくナルトを、おれは目いっぱい睨んでやる。
「うんうん。よくやったぞ、ナルト。よくみつけたな。」
「ちっ・・・。」
おれは舌打ちをする。
さきに人形をみつけたナルトはもちろんだが、『部下を上手に育てるコツ』とでもいう本を読上げるようにいうカカシも気に入らなかった。
「まあまあ。サスケもよくやった。今回はなによりも勘が必要な任務だったからな。野生に近いナルトが見つけて当然だ。」
「先生、それ、けなしてるのかってばよ!」
 
勘も任務をするにあたって重要なものだ。それがないということは、実力がないのと同じなのだ。
 
どこまでもいらつくやつらだ・・・。
 
おれは2人に背を向けて家へと帰る。
おれは家が好きだ。
いたる部屋には昔血が飛び散っていた。兄が殺した両親の血が。
今は消えてしまっているが、その呪われた家は、おれを1人にしてくれる。
おれを孤独にして、さらにおれを強くする。
 
おれは、この家が好きだ。
 
帰ったときは夕方だったが、部屋にいって巻物を読み漁ったり飯を食べていると、日はとっぷりと暮れ、そろそろ寝る時間になっていた。
 
風呂からあがったおれは、馬鹿でかい家の廊下を歩く。
と。
 
「ん?なんだ?」
 
扉の隙間から明かりが漏れていた。
おれは冷静に気配を消す。風呂上りだろうが、いつも身につけているクナイを握って身構える。そしていっきに扉を開いた。
 
「だれだ!!」
クナイを部屋の中に向けて叫ぶ。
 
そこにあったのは・・・大きな石像。
 
黙って石像を凝視してから、部屋中に気配を張る。
誰もいないことがわかると、じりじりと石像に詰め寄っていく。
 
それは、なんの変哲もない、同じ年くらいの女が彫ってある石像だ。
あごを少し持ち上げて、斜め上をみている。
寂しいのか、悲しいのか、ただ・・・見ているだけなのか。
不思議な表情をしている。
 
おれはやっと緊張を解いて息を吐く。
「電気の消し忘れだったのか・・・?」
明かりのことはそれで片付けてもいい。しかしこの石像は・・・。
 
恐る恐る石像の手にふれてみる。
冷たかった。ただの石像だ。害はないだろう。・・・多分。
 
だいたい、3時間ほど過ぎた。
サスケは頭を抱えながら考えていたが、さすがに睡魔が襲ってきた。
明日は任務がない。木の葉の本部に連絡をして、こいつをひきとってもらおう。
 
そう決めるときびすを返して部屋を去ろうとする。
が、ぴたりと足がとまる。くるりと振り返ってまた石像のそばへとよる。
「気になるな・・・。」
なにが気になる?わからない。いや・・・
石像はなにをみている?
 
おれは石像がみているほうへ目を移す。
そこにあるのは、天井の隅。くもの巣すらない。
 
近くにおいてある椅子に目が止まる。
と同時に、石像の顔をみてみようという気になってきた。
 
椅子を引き寄せてその上にたつ。
石像の大きさはサスケより少し小さいくらいだが、背伸びしただけでは顔を覗き込めない。
 
ゆっくりと顔を見る。
ほんの少し口を開けているその顔は、正直なところ、かわいかった。
石の灰色をしてるのに、その瞳は光が宿っているようだった。
髪は肩までのびていて、顔は小さく、眉の形がいい。
大きな緑色の目で見つめられるので、ほんの少し照れてしまった。
 
・・・待てよ。
 
 
『緑色の目』?
 
 
石像に色はついていなかったはずだ。目も灰色だった。
緑・・・?
思考が一瞬止まったが、慌ててもう一度石像の顔を見る。
 
そこにある・・・いや、いたのは、自分をじっとみつめる少女だった。
 
不思議そうにおれをみていた少女はおれと目があっていることに気がつくと、にこっとおれにむかって微笑みかけた。



やってしまった・・・。
本当に私はパラレルが大好きだなぁ・・・、と、この話を書いていて実感しました。

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、この話、3バージョンあります。
カカサク・ナルサク・サスサクの3つです。
この話はサスサクですなぁ。いかに原作どおりのサスケを書こうと努力したか・・・。
これがその結果だ!!(威張り)
ようするに文才がないってことですよ。

3つの話、根本(石像をみつけるって話)は同じです。内容はまったく別物ですが、同時進行しています。
好きなものをお読みください。
ただし、くれぐれも期待はしないよう(汗

ねくすと→『サスケ君のみつけた石像−2』

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