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石像の話
             カカシ先生のみつけた石像
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「よく探せよ〜。」
「フン・・・。」
「わかってるってばよ〜!」
 
愛読書であるイチャパラを片手に部下である2人に呼びかけるが、返ってくるのはまったく可愛げのないものだった。
 
そもそもこの班がよくない。
普通なら男子2人女子1人の三人組が組まれるはずだが、カカシ率いる7班は人数の都合で男2人しかいない。
それでもコピー忍者のカカシが率いて、さらにはうちは一族の末裔がいるならば安心、と火影様はいっている。
 
問題はないが・・・。
 
「あ〜!もう!人形なんてどこにもないってばよー!」
 
今日7班は、金持ちの娘が庭でおとしたというマスコット、ド●モ君人形を探している。
だが、その庭というのがとことんただっ広いのである。
しかも背丈ほどある花やら葉やらがそこらじゅうに生えきっている。これでは人形が見つかる可能性は宝クジにあたるよりずっと低い。
 
「カカシ先生も手伝うってばよー!1人で本なんか読みやがって!」
「・・・同感だ」
2人は探すのをいったん止めておれに講義する。
どうせ、みつからないから八つ当たりしてるのであろう。
しかし。
「はあ〜。」
カカシは口元をイチャパラでおさえながらため息をついた。
 
「本っっ当にかわいくないよな〜、お前達って。」
 
せめてここにかわいい女の子がいれば。
いや、多少かわいくなくとも、清らかでおっとりしててその場の雰囲気をほぐしてくれる。
そんな子がいればいいのに。
ガイやアスマや紅の班がうらやましい。
 
部下達(とくにナルト)が何か言っているが、どうでもいい。
おれはそいつらを完全無視して庭の西側へと歩き出す。
 
「しょうがない。」
無能な部下と一緒に探しますか。
なんの葉かよくわからないものを手でよけながら、足元に注意して歩き進む。
 
と。
おれはあるものを見つけた。
それは残念ながらドー●君人形ではなかったが・・・。
 
それは、女の子の顔をした石像だった。
 
大きさは手のひらサイズ。こんな小さな物だが、確かに石でできている。
彫りたてであるようによごれ一つついていない。
 
小さな小さな目も鼻も口も、髪の毛も。
まるで生きているように彫られていた。
そしてその表情は・・・。
 
「いい笑顔だなぁ・・・。」
しみじみとした声がでる。
石像は屈託な笑みをうかべている。
片目を閉じて、肩を片方上げて、くすぐったいような笑みを浮かべていた。
 
「おーい!あったってばよーーー!!!」
 
無能な部下一号・ナルトの声が庭中にこだまする。
おれはすぐナルトのもとへ向かおうとして立ち止まる。
 
手の中に収まっているそれ。
一瞬考えてから、おれはそれを胸の内側ポケットにしまった。
 
それから全速力で声のしたほうへ駆けて行ったのだった。
 
「へへへ。」
得意げに●ーモ君人形をもって頭をかくナルトを、おれは十分にほめてやる。
「うんうん。よくやったぞ、ナルト。よく見つけたな。」
「ちっ・・・。」
自分よりさきに人形をみつけたことが気に食わないらしいサスケは忌々しそうに舌打ちをする。
「まあまあ。サスケもよくやった。今回はなによりも勘が必要な任務だったからな。野生に近いナルトが見つけて当然だ。」
「先生、それ、けなしてるのかってばよ!!」
 
そんな他愛のない部下とのスキンシップをとったあと、依頼者に人形を渡して金をもらい、報告書を提出しておれは家へと帰った。
 
もう夕方になっている。
部屋はオレンジの光でいっぱいになっていた。
 
そこでおれはポケットから石像を出して、ベッドの上においてみた。
オレンジの光は石像をてらしキラキラ輝いている。
石像はやっぱり温かい笑みを浮かべていた。
 
石像をみていると、おれはなんだか泣きたい気分になってきてしまった。
なぜだかよくわからない。
それは究極にらしくない感情だったから、おれは石像から目をそらすように窓の外を見る。
 
ちょうど太陽が沈んでいくところであった。
ゆっくりとゆっくりと、スローモーションをみているかのように、夕日は山に隠れていった。
あたりはとたんに暗くなり、薄かった星が存在をアピールしはじめた。
 
ふと、視界の端になにか光るものがあった。
 
見ると、石像がさっきの夕日の色をまだ保ってオレンジに光っていた。
「な、なんだ?」
石像に手を伸ばす。
 
ピカッ!!
 
「う、うわっ!!」
 
とんでもなく眩しいオレンジの光が石像から溢れ出した。
どれくらいかの間それは光りつづけ、やがてゆっくりとその光度を失っていった。
 
おそるおそるといったふうに目を戻す。
 
そこにあったはずの石像はなくなっており、ある・・・いや、いるのは、頼りない部下と同じくらいの、ピンクの髪をした女の子だった。
 
女の子は石像と同じように笑みを浮かべてベッドに座っている。
 
「な、なんだ?」
 
おれはもう一度、間の抜けた声で同じことを言った。



やってしまった・・・。
本当に私はパラレルが大好きだなぁ・・・、と、この話を書いていて実感しました。

お気づきの方もいらっしゃるでしょうが、この話、3バージョンあります。
カカサク・ナルサク・サスサクの3つです。
この話はカカサクですなぁ。初めに考えついたんですよ。カカサク好きだから!(いえい!)

3つの話、根本(石像をみつけるって話)は同じですが、内容はまったく別物です。好きなものをお読みください。
ただし、くれぐれも期待はしないよう(汗


ねくすと→『カカシ先生のみつけた石像2』

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