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幻想天華 6

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「・・・・く・・・!!」
おれはうめき声をあげると、ぼんやりとあたりを見回した。
どうやら、助かったらしい。本能でそうかんじる。
 
かすんだ視界にすぐにはいってきたのは、桃色の髪。
おれは勢いよくおきあがった。
 
「カカシ先生?」
信じられない、という顔でサクラがおれを見つめる。
「どうして・・・。」
「サクラ。」
 
まだぼんやりする頭を起こして、おれはどうにか立ち上がった。
「お前、おれに幻術をかけたんだな?」
「なんで・・・。」
「答えろ。」
 
有無を言わさないような口調でいうと、サクラは肩をびくっと揺らした。
それから顔をうなだれて、小さく縦にふる。
「どんな術をかけた?」
「・・・。」
「言え!!」
 
 
激しく声を荒くして怒鳴りつけても、サクラは無言のままだった。
おれは頭に血が上り、つい手をあげた。
といっても、殴る、叩くといったことにはならなかった。
ただ、手を勢いよくあげただけ。
よくわからない怒りは、サクラの顔をみた途端に音もなく消えた。
 
 
サクラは泣いていた。
下を俯いていたが、ぽたぽたと涙がこぼれている。
 
おれは唖然としてから、力なく腕をおろた。
それからサクラと同じように俯く。
「・・・サクラ、ごめん。」
 
おれのその声をきくと、サクラは激しく首を横に振った。
「違う。ごめんなさい・・・私が悪いの。」
サクラはゆっくりと顔をあげる。
翠の瞳や白い頬に、涙のあとが光っていた。
 
 
「全部、話します・・・。」





ああ、つっこみの声が聞こえてくる。
『先生、首から血が出てるんじゃないの?』
ええ。そのとおりです。でてます。クナイが掠って。
それなのに頭に血がのぼっちゃまずいですね。あは。


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