☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 幻想天華 6 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「・・・・く・・・!!」 おれはうめき声をあげると、ぼんやりとあたりを見回した。 どうやら、助かったらしい。本能でそうかんじる。 かすんだ視界にすぐにはいってきたのは、桃色の髪。 おれは勢いよくおきあがった。 「カカシ先生?」 信じられない、という顔でサクラがおれを見つめる。 「どうして・・・。」 「サクラ。」 まだぼんやりする頭を起こして、おれはどうにか立ち上がった。 「お前、おれに幻術をかけたんだな?」 「なんで・・・。」 「答えろ。」 有無を言わさないような口調でいうと、サクラは肩をびくっと揺らした。 それから顔をうなだれて、小さく縦にふる。 「どんな術をかけた?」 「・・・。」 「言え!!」 激しく声を荒くして怒鳴りつけても、サクラは無言のままだった。 おれは頭に血が上り、つい手をあげた。 といっても、殴る、叩くといったことにはならなかった。 ただ、手を勢いよくあげただけ。 よくわからない怒りは、サクラの顔をみた途端に音もなく消えた。 サクラは泣いていた。 下を俯いていたが、ぽたぽたと涙がこぼれている。 おれは唖然としてから、力なく腕をおろた。 それからサクラと同じように俯く。 「・・・サクラ、ごめん。」 おれのその声をきくと、サクラは激しく首を横に振った。 「違う。ごめんなさい・・・私が悪いの。」 サクラはゆっくりと顔をあげる。 翠の瞳や白い頬に、涙のあとが光っていた。 「全部、話します・・・。」
ああ、つっこみの声が聞こえてくる。 『先生、首から血が出てるんじゃないの?』 ええ。そのとおりです。でてます。クナイが掠って。 それなのに頭に血がのぼっちゃまずいですね。あは。