☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 幻想天華 10 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
しんしんと降りつづける雪。 それでも2人は気にするわけでもなく会話をした。 「今日、任務があったんだって?」 「正確には、なかったんですけどね。火影様から特別派遣の令が出て。」 「それでサスケと一緒に行ったんだ。」 「さすが先生。情報が早いですね。」 サクラの言葉に、嫌味のようなものは一切ない。 それでも何かがひっかかる。 少し考えてから、カカシは頭をかいた。 「サクラ、敬語やめて。」 「でも一応カカシ先生は先生ですから。」 「一応かい・・・。」 「はいはい。止めますよ。」 サクラはくすくすと笑って、カカシと向き直る。 「大分、うまくなったのよ。」 「・・・何が?」 「わかってるくせに。といういか、そのことが聞きたくて来たんでしょ。」 「さすがサクラ。情報が早い。」 「顔にかいてあるわよ。」 カカシは笑う。 「話がはやいな。さっき、サスケに会ったよ。」 一瞬、サクラの表情に驚きが走る。 「・・・そっか。サスケくん、かわったと思う?」 「全然。」 「じゃ、私はかわったと思う?」 「・・・難しい質問だなあ。」 カカシは肩をすくめた。 「それより、『あの』幻術はどうなったわけ?うまくなったとかいってたけど。」 サクラは微笑んだ。どこか大人びたが、あどけない笑顔。 「術をかけられた人が、『一番美しい』と思う光景を夢にみせられるの。」 「・・・なるほど。」 このなるほどには、2つ意味がある。 確かに成長したんだな、という意味。 それから、やっぱりまだあの術を使いつづけているんだな、という意味。 「にしても、元気そうじゃないか。」 「そりゃあね。体力つけたもん。集団にいっぺんにかけても、そうそう疲れたりしないわよ。」 サクラはそこから子悪魔のような表情をして少し小声になる。 「ついでに、生きている人間にはかけられないように工夫しといたわ。」 「・・・どうもすいませんねえ。」 「どういたしまして。」 サクラはころころと笑った。 「サクラさあ、後悔とかしてる?」 「後悔?なんの?」 「だからさ。上忍にも暗部にもならないで、こういう『ボランティア』してることについて。」 「してるわけないじゃない。先生は?」 カカシは目をまるくする。 「おれ?」 「そうよ。この術をこれからも使っていいですか?って先生に聞いたでしょ。」 「そういえば、あったなあ。」 とぼけたような声を出しながらも、あの時のことはよく覚えている。 実際、さっきまで考えていたのだから。 「そしたら『好きにしろ。』っていったじゃない。」 「ああ。それがどうかしたか?」 「後悔とか、してる?」 「まったく。」 ほとんど即答。 サクラはあきれたように笑いながら、「ならいいじゃない。」と言った。 たしかに、そうなのかもしれない。 「これからも続けていくんだ?」 「もちろん。」 いいかげんに話しすぎたらしい。 体が冷えたサクラは、小さくくしゃみをした。 カカシはそれに気がつくと、ポケットに片手をいれてきびすをかえす。 「寒くなったし、この辺で帰るよ。」 「え!?久しぶりなんだから、家にあがってよ。もう少し話しましょ。」 「悪いけど、そんなに暇じゃないんだよ。おれ。」 「まあ。」 サクラは頬を膨らませて、怒った顔をする。 しかしすぐに微笑むと、手をふった。 「じゃあ、またね。先生。」 「ああ。またな。」
会話でおわるのって、びっみょ〜な感じですね(汗) しかしやっと10になりました。 今回は短く区切るのすら面倒なのでちょっと長めでした。 もうちょっと続く。