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きっかけは記憶喪失

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「それじゃあ今日の任務はこれでおわり。解散!」
「は〜、疲れたってばよ!」
のんびりしたカカシの声に、相変わらずなナルトの声。
 
まさにいつも通りの会話。
「サスケくん、一緒に帰りましょう!」
嬉々としておれを誘うサクラ。
 
これも、いつも通り。
「サスケなんか誘わないで、おれと帰ろうってばよ!サクラちゃん!」
「あーもう!あんたは黙っててよね、ナルト!!」
「ほらほら、3人とも早く帰れよー。」

カカシが手でおすようにすると、ナルトはしぶしぶ家への道を歩いていく。
サクラは再び笑顔でこちらに向き直る。
「ねぇ、サスケくん、帰りましょうよぉ!」
「いや、断る。」
サクラの頭の上に『ガーン』という石が落ちてくるのがわかった。

・・・本当は。
一緒に帰りたいのだが・・・。
ここまでマンネリ化した会話の中で、突然おれは言葉を変えられない。
今さらいいにくいのだ。

「はぁ。」
ため息をついてくるりとおれに背を向けるサクラには、なんだか申し訳ない。
おれも、ため息をつきたい気分だ・・・。

こんな日が、もう何日も続いている。
いい加減に正直に言えばいいのだが、それができれば苦労しない。
どうやらおれはとんでもない『恥ずかしがりや』らしい・・・。

サクラのことが好きだ。
そんなことはずっと前からわかっていた。
あの髪、あの目。時々見せる真剣な顔も、無邪気に笑う顔も。
何よりおれがどんなに冷たく言ってもあきらめない一途さ。純情さ。
何事にも一生懸命で、ふふっと微笑んだ時の顔なんか・・・。

本当に最高だ!!かわいすぎる!!
たまんないぜ、まったく!!

・・・ごほん。
失礼。少し取り乱しすぎた。

とにかくおれはそれほどサクラの事は好きだが、素直にいえないのが常の話だ。
明日こそは、と思ってどれくらいたっただろう。
えーい、うじうじしててもしょうがない!!
今日こそは、今こそは、言う!

目に、ちいさくなっていくサクラの背中が見える。
おれは遂に意を決して、はなれたサクラに声をかけた。

「サクラ!」
「え?」
ドゴォッ!!!

おれの声に振り返ったサクラは、横にあった大木に思いっきり頭をぶつけた。
「・・・あ。」
一瞬何がおきたかわからなかったのは、おれだけではなかったようだ。
サクラは大きな目をパッチリさせて驚いた顔をしてから、ゆっくりと倒れる。

「ほぇ・・・。」
ドサ。
「サクラ!!」
金縛りから開放されたように動き出すと、ダッシュでサクラに駆け寄る。
頭には、大きなたんこぶ。

「だだだ、大丈夫か!?」
パニックになってるおれは目を回しているサクラを上下に強く揺さぶる。

「ん・・・。」
小さな声をあげると、サクラの長いまつげが揺れて翡翠の目が現れた。
「サクラ!」
「ほへ・・・。」
「よかった・・・たんこぶだけか。焦った・・・。」

安堵の声をはいてから、たんこぶ一つに心配している自分に気づく。
あわててサクラから離れると、そっぽを向く。
「よ、横も見ないからそういうことになるんだ。気をつけろ。」

サクラはしばらくぽーっとおれの顔を見ていた。
と、急に我にかえったような顔になって立ち上がる。
「ちょっと!すこしは心配の言葉くらいかけてくれてもいいじゃないですか!!」

今度驚いたのはおれの方だ。
ナルトにはともかく、おれにこんな口をきくのは初めてだ。
確かにおれが呼び止めたのも悪かったかもしれないが・・・。
しかもなんで敬語?
そんなに怒ることなのか?

「きいてるんですか!?」
「あ、ああ・・・。」
「まったく、何なんですか。」
 
まだ怒るサクラ。おれはたじたじするばかりだ。
目の前にいるのはまるでサクラとは別人のようだ。
ぶつけたせいで頭がおかしくなったんじゃ・・・。
 
「本当に大丈夫なのか?」
心配になったおれはサクラの頭に手を伸ばす。
するとサクラはきっとおれの目を正面から睨んで手をはらった。

「初対面のレディーの髪にさわろうなんて、どういう神経してるんです!!」
「は?・・・初対面?」

ぐるぐると頭がまわる。
今までの事が巻き戻しするように思い出されてから、一つのことにいきついた。

「まさかお前・・・記憶喪失になったんじゃ・・・。」
「え?」
「まさかな・・・ははは。」
サクラはぽかんとした顔をしてから、何かを考えこむ。
うーんうーんと唸ってから、絶望の顔をおれへとむけた。

「何にも・・・思い出せない。」
「ま、マジか!?」
「うん・・・、私、なんて名前でしたっけ・・・。確か・・・『あ』がついたような・・・。」
「お前はサクラだ!」 
これは重症だ・・・。
いそいで南の方角を向いて走り出そうとする。

「ちょっと、どこ行くんです!」
「どこって・・・、医者を呼んでくる!」
「そんな!私1人を置いていこうっていうんですか!?」
「おれ1人のほうが早い!」
「私、記憶がないんですよ!心細いじゃないですか!」
「よくわからんが、ほっとくと悪化したりしたらどうするんだ!」
「悪化!?何ですそれ?」
「例えばもう言葉すら忘れちまうとか、そういうことだ!」
「あるわけないじゃないですか!バカですか!?」
「ば、バカだと!?」
「だってバカじゃないですか!」

お互いにはあはあと荒い息を吐いてからゆっくりと向き合う。
おれの額にうっすらと筋がういているのが自分でもわかった。
「サクラ、お前いい加減にしろよ。」
「?何です。」

調子くるうなぁ・・・。
「お前、一番大切なこと忘れてるぞ。」
「?」
「サクラは、おれのことどう思ってたと思う?」
「え・・・。」

サクラの動きがぴたり、と止まる。
それからあらためるようにおれの顔をまじまじと見る。
「どう思ってた・・・え・・・っと、どうでしたっけ?」

ぷつん。

これは、おれの堪忍袋の緒が切れた音。
どうだでしたっけ?、だと?

ガンッ!!
「きゃあっ!」
おれはものすごいスピードでサクラを木へ叩きつけるように移動させた。
全身をぶつけたらしいサクラはいたた・・・とつぶやく。

おれはサクラの顔に自分の顔をぐっと近づける。
そして翡翠に自分が映っていることを確かめながら一言一言いった。
「お前は、おれが好きなんだろうが!」
「ちょ・・・待って!」

サクラは困惑した顔でおれから離れようとするが、それを手で制する。
「待ってじゃねぇ!あんだけおれのこと好きだ好きだいってたくせに!」
サクラが何かを言ったが、わからなかった。
おれの頭は怒りで真っ赤になっている。

「おれがどれだけそれが嬉しかったか、わかるか!?」
「・・・え!?」
「なのにいきなりバカ扱いしやがって!おれだってお前が好きなんだぞ!気持ち考えろ!」

サクラのぽかんとしている表情をみてから、やっと気分がおさまってきた。
そして冷静になると、今言った言葉が渦を巻いておしよせてきた。

おおお、おれはなにどさくさにまぎれて告白してるんだ!?
いや、まてよ。サクラは記憶がないわけだし、あれくらいなら・・・。

ちらっとサクラをみると、サクラの顔は耳まで真っ赤になっていた。
「あの・・・サスケくん・・・?」

『サスケくん?』
サクラに、おれの名前おしえてないよな・・・?

「まさかサクラ、記憶が・・・。」
「よくわかんないけど、木にぶつかったときに頭もぶつけちゃって・・・。」

うまく状況がのみこめない。おれはおずおずと切り出した。
「じゃあ、今のおれの話・・・。」
「ご、ごめん。聞く気はなかったんだけど・・・。」
おれの顔はぼんっとサクラに負け時と真っ赤に染まった。

おれはなんてこといっちまったんだ!!
と下をむいちると、今度はサクラがおずおずと声をかけてきた。
「えっと、サスケくん・・・?」

ちらり、と視線を上げると、相変わらずサクラは赤い顔だった。
そして照れたように微笑んでいった。
「一緒に帰らない?」

畜生。
サクラには一生勝てないな・・・。

おれは心の中でそう思ってから、赤い顔を上げて横を向きながらいった。
「またぶつかったりしたら大変だからな。」
そして、手をだす。
「一緒に帰ってやってもいいぜ。」

サクラは満面の笑みで微笑んだ。
「うん!帰ろう!」
そして、おれの手に自分の手を重ねる。

「サスケくん、大好き!!」




らる様、大変お待たせしてしまいました(汗)
『記憶喪失になっちゃうサクラ』!と、『サクラちゃんにメロメロ〜なサスケ』です!
あんまりメロメロじゃないよーな・・・。気のせいですよ!!ははは!!

実はコレ、ものすごーく最後をどうしようか迷ったんです。

近くにいたカカシ先生に目撃され、とんでもなくからかわれるとか・・・。
近くにいたナルトに目撃されてしまい、ぎゃーぎゃー騒がれるとか・・・。
近くで任務をしていた10班に目撃されて、里中にひろまるとか・・・。

全部目撃ネタかい!!
結局はこの一言で締めくくらせていただきました。
本当に駄文でもうしわけないです(TT)
それではらる様、リクありがとうございました!


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