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白い香り
        3.彼女の病気とそれを囲むもの
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「・・・結局・・・3人とも来たのね・・・。」
さも意外そうにいのは言う。
「サクラのこと、そんなに心配?」
それは決して皮肉のようなものではなかった。
いのは答えを待たずに背を向けて歩き出す。3人もそれに続く。

薄暗い空にはまだ星がチラチラと顔を出している。
月はでていない。今夜は新月だったのだ。

結局。

あのあと3人は早々に同窓会を去っていった。
なんの約束もしないで。全員が『誰かしらこないやつがいるだろう』と思っていたが、結局。
勢ぞろいしてしまったようだ。

なつかしいアカデミーを横目に通り過ぎながら、いのはどんどん歩いていった。
その3人・・・カカシとナルトとサスケは、深く考えることをやめて、頭の中を真っ白にしてそれについていく。
男3人が1人の女性にアヒルのようにくっついて歩くのは、はたからみれば実におかしな光景だが、幸いにも早朝5時を少し回ったこの時間に人はいないようだ。

空が白んできた。星も砂糖が溶けていくようにゆっくりとなくなっていく。

いま、何時だろう・・・。

そんな考えがぼんやりと頭を横切るが、それはわかってもわからなくてもいい疑問だった。
誰も声を出さない。
誰も時計も見ない。
鳥の声すら聞こえない。

静寂だけが響き渡る。風が体に当たるのはわかるが、音は聞こえなかった。
ここは、無しかない。

「あそこよ。」

いのの声で、一瞬にして世界に色がつく。
熱にうなされているようだった3人ははっと目がさめるようにいのが指差した方を見た。

小高い丘の上に白い建物が、1つ。

向こう側に見えるのは、岩ばかりの崖。
肉食の大鳥の群れが、甲高い声を汽笛のようにならして飛んでいる。
白い建物は、真っ黒な口をぽっかり開いて、来訪者である4人を招いていた。

「ここに・・・サクラはいるのか?」
おれの声は、崖の底へと吸い込まれていく。
なんだここは?

ナルトは下忍だったころのようにカカシの後ろへぐっと離れる。震えていた。
「おれ・・・なんかここが怖いってばよ。」
それは、同感だと思う。なぜ怖い?ここは・・・そうか、ここはあそこだ!
ここは、そう。まるで―――

「まるで、牢獄じゃないか・・・!」

サスケはカカシの心をよんだように、叫ぶように非難する。
そう、ここは牢獄だ。中に入った者を決してそとに出すことをせず、じわじわと苦しみを与えていく。
「サクラちゃんは、本当にこんなところにいるのかってばよ・・・。」
ナルトが情けない声を出したが、いのは黙って黒い口へはいっていく。
結局。
3人もそれに続く。彼女に会いたいがために。

その建物の中はひんやりしていたが、想像したほど恐ろしくはなかった。
受け付けにいのが顔を出すと、すぐに病室へと歩き始めた。
「よく見舞いにきてるのか?」
サスケがその様子をみて尋ねると、いのはどこか自嘲気味に笑う。
「めったなことがなければ、ほとんど毎日きてるのよ。」

コツ、コツ、コツ・・・。
歩く音が耳に障る。さっきが静か過ぎたからだ。
無意識に、音がたたないように歩く。
それでもいのの堂々とした足取りが、病院に浸透するようになる。決して陽気なものじゃないのは確かだ。
4人の足はぴたりと止まる。

『201 春野サクラ』
プレートにかかれている文字は、ひどく説得力があるようで、逆にうそ臭い。
個人の生活のあとがみられないからだろうか?
この扉を開けたらサクラがいるのに。
どうして扉の前はこうも無表情なのだろう。

「サクラ、入るわよ。」
いのはいいながらドアのノブに手をかけ、重く無表情の扉をあけた。
キイィィ・・・
小さな悲鳴を響かせて開いた鉄のドアのむこうには、桃色の髪がゆれている。
ベットの上に上半身を持ち上げて、彼女は開けられた窓の外をみていた。
こちらに背を向けているので、顔がわからない。それでもわかった。彼女は・・・
「サクラ?」
カカシの声が届いて、ゆっくりとサクラがこちらに顔をむけた。

「先生!?それにナルト!サスケくんも!」

驚いたサクラの顔は、昔と一緒だった。いのはフフフと笑う。
「びっくりしたでしょ?昨日会ってね。連れてきちゃったのよ。」
「んも〜!いの!そういうことは先に言ってくれなくちゃ困るでしょ!こんな髪ボサボサよ〜!?」
慌てて肩より少し長く伸びた髪を両手でおさえつける。
「ぷ・・・。」
「?」
「ぷはははは!!」
カカシは腹をおさえながら大きな声で笑った。サクラの顔はますます赤みを増していく。
サスケとナルトはやっと安心したような顔になってから、頬をゆるませた。
 
場は突如、暖かい、心地よい物へと変わる。
 
そこからは。
他愛のない話が続いた。
 
サスケの最近の状況、ナルトのラーメン好き、カカシの髪型のセンスなど。
サクラはそのたびに表情をくるくるとかえて怒ったり、笑ったした。
サスケはいまだに婦女子に追っかけられているとカカシが言うと、サクラは
「な、なんですって――!?追っかけてるなんて、許せないー!!サスケくんもひょいひょい変な女についていっちゃダメよ!!」
などと内サクラ全開にしていた。
 
穏やかに流れる時間。
突然。
忘れていたことがおこった。
 
「・・ぅ・・・・・・。」
 
今の今までころころと笑っていたサクラが、突然くぐもった声を出して前かがみになる。
「え・・・サクラちゃん?」
ナルトが心配そうにサクラの背中に手を置く。いのは真っ青になって時計をみた。
7時を少し回ったところ。
 
「サクラ!!」
いのはナルトを突き飛ばすような勢いでサクラに駆け込む。
「サクラ、サクラ!!」
「う・・うぅ・・・ぃ・・・いやぁ・・・。」
何が起こっているのかわからずにたたずむ3人を無視して、いのは震えるサクラに必死に呼びかける。
 
「い、いやああああぁぁぁぁぁ!!!」
 
爆発したようなサクラの声は病室を引き裂くように振動させる。
「こ、こないでえぇぇ!!」
「サクラ、大丈夫よ!みんないるわ!」
「い、いやぁ、いやああ!!」
 
あまりにも悲痛なその声に、サクラの目から溢れ出す涙に、3人は耳も目ふさいだしてしまいそうになる。
「助け・・・助けてぇ!いやぁぁ!!」
「サクラ!大丈夫よ!」
サクラはぶるぶると手をのばした。まぎれもなく、カカシの方へと・・・。
 
苦しい声を、叫び声をあげながら、サクラはカカシに助けを求める。
 
「助け・・・てぇ!!みんな、みんなが・・・!!」
「サクラ!!」
激しいいのの声で、サクラはぴたりと動きをとめる。
「い・・の・・・。」
サクラはいののほうをみてそういうと、小さくなってヒクヒクと泣き始めた。
 
「サクラ・・・。」
 
カカシはサクラに触れようと手を伸ばす。しかしばっといのによってその手を払われてしまった。
「サクラはみてのとおり・・・これくらいの時間から夜中あたりまでに発病してしまう・・・精神病よ・・・。」
誰も、何もいえない。
サクラの鳴き声だけがいのの言葉を裏付けるように耳にはいる。
 
「帰って・・・。」
 
いのは後ろをくるりとむいてそういった。
3人はそれでもわかった。いのが泣いていると・・・。
 
だから3人は何もいえずに、ゆっくりと病室を出て、その建物を――精神病院を去った。
 
カカシは振り返ってそこを見る。
向こうに見える底のない崖。そこを飛び回る肉食の大鳥の群れ。
 
「こんなところがあるから行けないんだ・・・!」
 
自分の声が震えているのがわかった。サスケとナルトも建物を睨んでいる。
「何があったかは知らないが、サクラは縛られているみたいだ。」
「サクラちゃんは、ここから抜け出さなくちゃ変われないってばよ。」
 
カカシは忌々しく言葉を吐き出した。彼がこんなにも感情的になるのは、本当にめずらしいことだ。
無理もないだろう。他でもない、サクラのことなのだから。
 
「ここは牢獄だ・・・!」
 
ここには無しかない。
 
サクラは、ここにいてはいけない、囚われの姫。



第3話、終了。
無駄に長いわ!!と思っているのはあなただけじゃないぞ☆
ご、ごめんなさい。
夢壊しちゃったらごめんなさい。(怯え)
しっかし。ひどいスランプです。自分でわかってます。
そうすれば直るんでしょう?誰かおしえてください(真剣)
まあもともと管理人に文才はないようで・・・ハハ・・・。
つ、次も読んでくれてたら、うれしいです、はい・・・。 

ねくすと→まだできてません(汗

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