秘めごと


 



「ふーん。」




サクラちゃんはそういって、食べかけていた煎餅を再びかじりはじめた。
「・・・・・・。」
呆気にとられているおれに、サクラはちゃんは眉をひそめて視線を移す。

「ナルト、今あんたすっごいアホ面してるわよ。」
「・・・それだけ?」
「まあ、あとはマヌケ面も混じってるわね。」
「そうじゃなくて・・・。」


おれは必死に首を振る。
心臓がどくんどくんとパンクしそうなほど脈打っている。
「サクラちゃん、多分さっきの話の意味を間違えてる。」
「間違えてないわよ。」

サクラちゃんは興味なさそうにテレビのスイッチを入れる。
バカみたいに明るい音楽と同時に、有名な子供向けアニメが始まった。


「間違えてるよ!!」
おれは声を荒くしながらテレビを消す。
サクラちゃんは面倒くさそうにおれを睨みつけた。
そういえばサクラちゃんはこのアニメが大好きで、子供の頃から一回も見逃したことはないっていってたなあ。
なんて、どこかで冷静な自分が考える。

「ちょっと。勝手に消さないでよね。」
「テレビなんて見てる場合じゃないってばよ!」
もう一度テレビをつけようとするサクラちゃんの手を見て、おれはとっさにリモコンをとった。


「もー。なんなのよ。さっきから。」
「だってサクラちゃん、わかってないじゃんか!」
「わかってるって。」
「じゃあ、おれがいった話の意味、言ってみてよ。」



「あんたに九尾が封印されてる。」



「・・・・・・。」
ちゃんと意味がわかってるサクラちゃんに、おれの体中の力がいっきに抜ける。
サクラちゃんはチャンスとばかりにおれの手からリモコンを取った。
おれの頭に、陽気なアニメのオープニングが遠くで流れる。



放心するのは当たり前だろ?

誰もが気味悪いと思う、近づきたくなくなる秘密。
ずっと内緒にしてためていたそれを、ついに打ち明けたのだ。
大好きな女の子に。

存在を否定されることを。
悲鳴を上げられる事を。
二度と触れてもらえなくなる事を予想しながらも。


そして、かえってきた返事は一言。
「ふーん。」

拍子抜けしない奴が、はたしているのだろうか?


「ちょっと。見えないんだけど。」
テレビの前でぼんやりと立っていたおれに、サクラちゃんは邪魔そうに睨む。
それでもおれが反応をしないと、無理矢理おれの脇腹に手をおいて移動させた。

・・・触った。
ぼんやりと、だけど漠然に感じる。
1テンポ遅れておれはサクラちゃんを見つめる。

「・・・どうして?」
「何が?」
「だって・・・!!」

言おうとしたおれの言葉をさえぎるように、サクラちゃんはいきなり立ちあがった。
目を丸くするおれに反して、サクラちゃんはテレビを叩く。
映りが悪くなっていたテレビは、それによってまた鮮やかに画像を映し出した。


「言いたい事は、テレビが終わってからにしてね。」
サクラちゃんはにっこりと微笑むと、ワンパターンのアニメを楽しそうに見始めた。


こうなってしまっては仕方ない。
おれはとりあえず黙ってそれに従う事にして、サクラちゃんと並んでアニメを見ることにしたのだった。





目指せ明るい九尾ネタ!そして撃沈・・・さよーなら。
アニメは『ドラ●もん』らしいです。ちなみに私は大好き(けど最近の映画は・・・止)
かなり中途半端なのは、実はつづきがあるからです。
しかしお題って難しい。特にこの『秘めごと』ってやつは・・・!!
試作品(?)を6つもつくって結局これになりました。
たまにはこんな話もいいかなーと思って。


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