はじめまして


 


 
木の葉には、とても大きな商店街がある。
そこへ行けばたいていの物は手に入るだろうという大きな商店街。
大きいということは、それだけ広い。
道もなかなか複雑で、小さな子供はよくそこで迷子になったりするわけだ。
 
 
「うわーん!」
 
商店街の中央にある迷子センター。
10人ほどの子供達が心細くて泣いている。
その中でも、ひときは大きな声をあげている少年がいた。
 
 
「ぼ、ぼく?」
「うわあーん!」
「心配しなくてもすぐにお父さんとお母さんがきてくれるからね?」
「うわああああん!」
「困ったわね。」
 
あまりの泣き虫ぶりに、ベテランのお姉さんがたも困ってしまう。
この少年にはうさぎの人形も飴もきかなかった。
 
 
「うわーん!兄ちゃーん!!」
 
この少年こそがのちにうちはの末裔となる少年だとは・・・。
周りにいる人間はおろか、もちろん少年自体も夢にも思っていない。
 
 
 
「うるさーい!」
声と同時に、突然あらわれた少女が少年の頭をおもちゃのハンマーで殴る。
 
ピコーン!といい音があたりに響いた。
「心細いのはあんただけじゃないんだから、いい加減に泣き止みなさいよ!!」
 
「・・・・。」
あまりの事に少年はさらに泣くどころか、ぽかんとしている。
どうにか状況を理解すると、少年の目に再び涙がこみあげた。
しかしそれも少女によって阻止される。
 
 
「また泣くつもり!?」
少女はそういうと、もっていたぺろぺろキャンディーを少年の口に有無を言わさずつっこんだ。
「ふがっ!」
「迷惑なんだから、大声あげるのはやめてよね!」
 
キャンディーが口いっぱいにつまっているために、少年はこくこくと首をたてに動かした。
少女の迫力が、少年をそうさせたらしい。
それでも少女はなっとくして満足げに頷く。
 
「うんうん。わかればいいのよ。いいこいいこ。」
年は同じくらいなのに、少女は子供を扱うように少年の頭をなでてやる。
少年はどうにかキャンディーを口からだして少女に尋ねた。
 
「・・・あの、なんて名前?」
「わたし?」
少女は少年の頭をなでながら微笑む。
 
 
 
「わたしは春野サクラよ。はじめましてだね。あなたは?」
「う、うちはサスケ。」
「そう。サスケくんっていうんだ。」
 
 
サクラはにこりとすると、自分も棒つきの飴をペロペロとなめはじめる。
「じゃあサスケくん。静かにしててね。」
サスケは素直に頷く。
 
「静かにしてたら、将来わたしのお嫁さんにしてあげるから。」
「本当!?」
「うん。本当。」
「じゃあ、静かにする!」
「えらいえらい。」
 
 
その光景をみていた迷子センターのお姉さん達は、そっと少女に拍手をおくった。
あんなに泣いていた少年をすぐに泣き止ませるなんて・・・すごい。
 
ついでにいうとお嫁さんではなくてお婿さんだという気もするが・・・。
 
 
10分後、少女の親と少年の親が慌てて駆けつけてきた。
 
「どうもすいません。」
「いやあ、ご迷惑をおかけして。」
親達はあやまりながらも嬉しそうに我が子の手をとる。
 
「それじゃ、帰ろうか。」
「うん!」
サクラは喜んで親に飛びついてから、同じように親を手をつなぐサスケのほうに向き直る。
 
「ばいばーい!サスケくん。」
「うん。またね、サクラちゃん。」
 
 
サスケもニコニコしながら手をふりかえす。
それを見ていたサスケの兄が首をかしげた。
 
「お前よく泣くわりには、迷子になったのに元気そうじゃないか。」
「まあね。」
 
サスケはへへへ、と笑って答えながら、将来自分がお嫁さんになる少女の顔を思い浮かべていた。





子供のときは、お嫁さんとお婿さんの違いなんてわからなかったです。わたしだけ?
しかし、こんな幸せそうなうちは一家も、数年後にはぼろぼろになるんですね・・・くっ。
とりあえず、一つ目のお題でした。


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