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告白
 
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「サクラちゃん、飲みすぎだってばよ。」
「うっさいわねー、ナルト。」
 
今日、サスケが結婚した。
相手はサスケより1つ年上で、とりたてて美人というわけではない女性だ。
 
こんなこといったら、失礼だと思うけど・・・。
おそらくサスケがこの人と結婚したのは、この人の能力にあるんだろう。
うちは一族や日向一族ほど有名ではないが、予知夢の力を秘めた一族の長女だ。
 
うちはの写輪眼とあわせれば、強大な力を生む遺伝子。
 
彼女はそれをもっているから。
だからサスケは結婚したのだ。もちろん先鋒もそれを承知だろう。
 
その証拠に、サスケも彼女も冷め切っている。
この結婚式自体も盛大ではあるが、みんなその華やかさについてこれてない。
 
そして。
サスケを下忍のころから思っていたサクラちゃん。
 
「もうやめたほうがいいってばよ。」
「あーもう!この私が酒なんかに飲まれるとおもってるの!?」
 
さっきからずっと御神酒をガボガボと飲んでいるサクラちゃんは、完全に酔っている。
 
サクラちゃんもおれもサスケも、20になった。
 
おれとサスケは上忍になり、当時一番実力がないと思われていたサクラちゃんは、特別暗部に所属している。
 
特別暗部は、いうなれば暗部の中でもスペシャリスト達が派遣されるところ。
サクラちゃんは持ち前の頭と幻術の才能と・・・それからくの一最大の武器である美貌をもっている。
中忍試験から落ちてしまってから、サクラちゃんは本当にメキメキと力をつけた。
 
おれもサスケも、今のサクラちゃんと戦えば、下手をすれば負けてしまうかもしれない・・・。
 
「ナルト〜、あんたも飲みなさいよ〜。」
「おれはもう十分のんだってばよ・・・。」
 
うぃ〜っとさらに酒を仰ぐサクラちゃんを、おれは頬杖をついてじっと見る。
かわいいなぁ。
 
「らーりよ、ナルトったら。」
・・・ろれつがまわっていない・・・。
 
結婚式会場の裏庭には、おれとサクラちゃんしかいない。
あまりにサクラちゃんが御神酒を飲みつづけるので、少しでも冷たい風があたるここへきたが、あまり意味がないようだ。
 
「あー!!もう!!」
サクラちゃんは空になった入れ物をダンッと乱暴にテーブルにおく。
「ナルト〜、さっきのカカシ先生のスピーチ、きいたぁ〜?」
「そりゃあ、きいてたってばよ。」
 
上司としてスピーチによばれたカカシ先生と会ったのは、かれこれ6年ぶりだった。
めずらしく正装を着込んだカカシ先生は、最初はけっこう普通のことを話していたが、最後のほうになると・・・
 
「いやあ、サスケときたら昔っから女につけまわされてましてね。
 ついには上司のおれよりさきにゴールインしちまいやがった。
 そうそう、そこに座ってる桜色の髪の人。」
 
突然カカシ先生に指を指されて驚くサクラちゃんだけど、カカシ先生ときたら・・・
 
「あの子もね、昔サスケと同じ班だったんですけど、そりゃも〜付回しててね。
 『サスケ君は私と結婚するのよー!しゃーんなろー!』
 とかいってましたよ。ははは!!
 案外、まだふっきれてないんじゃないかぁ?サクラ。」
 
新婦さんやその遺族の方々にも喜ばれるようなことではないが、もちろん一番被害を受けるのはサクラちゃんだった。
最初は何を言っているのかわからないって顔をしてたけど、まわりの目が自分にむいていて、しかもクスクス笑い声まで聞こえると、持っていたオレンジジュース入りのグラスを、顔を真っ赤にしながら片手でこなごなに割った。
 
それからはもう大惨事だ。
 
怒り狂ったサクラちゃんは額に『内』の文字を浮かばせ、料理がのったテーブルをひっくり返して、カカシ先生に烈火のごとく攻撃を繰り出す。
しかし、カカシ先生ときたらそれらをよけてドロンと会場から消えてしまった。
ポツンと残されたサクラちゃんは、はあはあ息をしながら悔しそうに席へ戻ってきた。
すると、横に座っていたおれと目が合う。
そのあと、なぜだか胸倉をつかまれ、ミゾオチにアッパーを食らった。
 
そして、それからはサクラちゃんはこのとおりなわけだ。
 
「信じられないわよね!あんなところであんなこと言うなんて!!」
「確かに、おれもびっくりしたってばよ・・・。でも、気にすることないと・・・あ、あれ?」
なにやらすーすー聞こえると思ったら、サクラちゃんはおれの話の途中で寝てしまった・・・。
 
「そりゃないってばよぉ、人の話の途中で寝るなんて・・・。」
「なに言ってんだよ、ナルト。」
ううう・・・と独り言を言っていると、懐かしい声がした。
 
振り向くと、そこにいたのは黒い正装に身を包んむ、クールな同級生。
「サスケ!!」
「サクラは酔いつぶれたか。」
ぽんぽんとサスケはサクラちゃんの肩を叩くが、サクラちゃんは気持ちよさそうな寝息をかいたまま動かない。
 
「こんなに飲んでたんじゃ、無理ないってばよ。」
「相変わらず、暴走すると止まらない女だな。」
それは決して嫌味のようなものではなく、楽しそうに苦笑しながらいうと、おれの前の椅子にすわる。
 
「・・・久しぶりだってばよ。」
「フン、かわらないな、お前は。」
直接会話らしい会話をするのは、14歳のときに7班が解散してから、6年ぶりだった。
解散後は、サスケとはまったく連絡をとらなかったのだ。
 
「とりあえず、結婚おめでとうだってばよ。」
「ありがとな。」
さらりとかえしてきたサスケの目を、おれはじっとみる。
 
「なんだ?」
「少しは嬉しがったらどうだってばよ。」
「ありがとな、っていっただろうが。」
「そうじゃなくて・・・。」
はあ、とおれはため息をつく。
 
「お前の言い方には、心がこもってないんだよ。」
「そうそう、それがいいたかったんだってば・・・・って、うお!!!」
思わず大声をあげてしまった。
なんだってこの上忍はわざわざ気配を隠してくるのだろう。
 
「カカシ・・・。」
「しばらくだな、サスケ、ナルト。」
よっ、と片手をあげる姿は、スピーチのときも思ったけど、6年前とまったく変わらない。
 
「カカシ先生、サクラちゃん怒ってたってばよ。」
「あー、だろうと思った。」
カカシはちらりと眠るサクラちゃんを見ると、サクラちゃんの横の椅子に座る。
サスケもつられるようにおれの横に座った。
 
6年ぶりに、第7班の4人が全員そろった瞬間だった。
 
「なんか、あのころにかえったみたいだってばよ!」
おれは嬉しくて頭をかく。
カカシとサスケも笑顔だ。
 
「ナルト、お前はかわってないなあ。」
「あんたのほうがかわってないぞ、カカシ。」
「サスケだって相変わらずだってばよ。」
 
目は、自然と眠るサクラちゃんに移る。
 
「一番かわったのは、サクラちゃんだな。」
うんうんと2人がうなずいた。
「顔なんかももちろんだけど・・・。」
「ああ、サクラは強くなった。」
 
それはライバル的な見方ではなく、優しい言い方。
みんな、サクラちゃんが強くなって嬉しいのだ。
 
「んぅ・・・。」
小さくサクラちゃんは身をよじると、顔を上げた。
「・・・あれ?みんな?」
 
「おはようだってばよ、サクラちゃん!」
「あたし、寝ちゃったの・・?」
サクラちゃんは手で髪を少し整えながら、だるそうに頭に手をやる。
 
「うえ〜、気持ち悪い・・・。」
「飲みすぎだろ。」
サスケがいうと、サクラちゃんは面目ない、といいながら頭をたれる。
「水飲んでくるわ・・・。こっちだっけ?」
「反対だぞ、水があるのはあっち。」
カカシ先生に指摘されると、サクラちゃんはふらふらした足取りで指差されたほうへ歩いていった。
 
「・・・・・・。」
サクラちゃんの後姿を見送る間の少し、沈黙がながれる。
完全に見えなくなってからおれ達は顔を見合わせた。
 
「サクラ、本当にきれいになったなぁ・・・。」
ぽつん、とカカシがいうと、おれはもちろんだけど、サスケも大きく反応する。
 
「変態上忍。教え子に手を出すつもりじゃねぇだろうな。」
その反応が先生には以外だったようで、サスケの顔を観察するように見た後、ふっと笑った。
 
「だとしたらどうするんだ?今日結婚したサスケくん。」
「フン・・・。」
面白くなさそうに鼻を鳴らすと、サスケはおれをみる。
 
「ナルト、お前、まだサクラが好きなのか?」
「当然だってばよ!」
そう答えると、カカシ先生はじっとおれを凝視した。
「おまえは素直だねぇ、ナルト。」
「え?」
「ウスラトンカチには考える頭がないんだ。」
・・・どうやら馬鹿にされているらしい・・・
 
「そういうカカシ先生は、サクラちゃんのこと好きなのかってばよ?」
頬杖しながら聞き返す。カカシ先生は何気ない口調で一言。
『まさか。』
そういうはずだと思っていた。けど・・・
 
「好きだよ。」
「・・・・・・・は?」
落ち着き払った顔でカカシ先生はそういった。おれは目をむく。
頬杖していた手がすべって、そのまま固まる。
 
「おれは、7班のころからサクラが好きだよ。」
さっきサクラちゃんが消えたほうに向かって先生はもう一度いった。
「今更気づいたのか、おまえ。」
カカシ先生は少し苦笑してから、椅子に大きく寄りかかってため息をつく。
「これじゃ、サクラにもわかってないか・・・。」
 
「え、え・・・?マジ?」
「マジ。」
おれの頭は7班のころを振り返る。
言われてみれば、確かにカカシ先生のサクラちゃんに対する行動は、特別なものだった。
おれはガキすぎて、なにもわからなかったけど。
 
「サ、サスケ、お前は知ってか?」
「当然だろ。見てりゃあわかった。」
同意を求めるようにサスケに問うが、サスケはしゃあしゃあとしていた。
 
おれは新発見をしたような喜びと、焦りに近いものが浮かんできた。
「じゃあ、おれとカカシ先生はライバルだってばよ!」
「あー、ナルト、ライバルはおれだけじゃないでしょ?」
「そ、そりゃあサクラちゃんは綺麗だから、他にもライバルはいるけど・・・。」
「違う違う。もっと身近にいるでしょ、ほら。」
 
カカシ先生が指差した場所。
振り向くと、そこにいるのは平然と会話を聞いていたサスケ。
おれはふき出した。
「ぷははは!カカシ先生!サスケがサクラちゃんのこと好きなわけ・・・。」
黙っているサスケ。
静かな時間が流れる。
「ない・・・よなぁ?」
「だとよ、サスケ。」
 
カカシ先生が促すと、サスケは小さく笑った。
「え、サスケ、嘘だろ?」
「嘘なわけあるか、ウスラトンカチ。」
「だだだ、だって!」
メチャクチャにサスケをさす指をふる。
「サクラちゃんはお前のこと好きだったじゃねーか!なのにお前は・・・」
「ばーか。」
大きく口を開けてゆっくりと、一言だけ罵声をあびせられた。
 
「サクラはおれのこと好きなんかじゃなかったぜ。」
「で、でも・・・」
「あいつがおれのことを好きだっていってたのは、まわりの女達と話を合わせるためだ。」
おれは力なく指差していた手を下ろした。
そうだ。
 
サクラちゃんは昔、いじめられていたのだ。
いのと話し始めてから友達ができたらしいけど、人見知りが激しいほうだったらしく、なかなか仲良くなれなかったらしい。
そこで持ち出したのが、サスケだ。
 
恋愛の話になると、女子達は一気に盛り上がる。
そんなのは、教室で話しているのをちょこっと耳にするだけでわかる。
 
同じ相手が好きならライバル視されてしまうが、相手がサスケなら別だ。
なんていってもくの一でモテまくりNO.1の男。
 
ライバルより、むしろ同士。
サスケのことで話をするだけでも、新密度はアップする。
 
サクラちゃんはサスケをそんなふうにみていたのだ・・・。
もちろん、彼女が完全に悪いわけではない。
あのサスケがまさか自分のことを好きだなんて、夢にも思っていなかったのだから・・・。
サクラちゃんは自分を、サスケのファンの1人、と置いていたのだ。
 
サスケは小さくため息のようなものをはいた。
「つらいな・・・。」
おれは、一つ気になっていることを口にした。
「サスケ・・・。」
「ん?」
 
「じゃあお前、なんで結婚したんだ?」
何かいいかけたサスケをおれは手で止める。
「まあ、相手に好意があったわけではないとしても。」
 
カカシ先生は黙ってやり取りを見ている。
「予知夢は、すごい力だ。ケドサクラちゃんだって、うちはと一緒になるのに決して恥ずかしいもんじゃねぇ。特別暗部だからな。」
 
サスケは表情を変えない。
「サクラは今まだおれのことが好きじゃねぇ。まあそれはいい。すぐに振り向かせる。」
 
最後の言葉に、おれのカカシ先生も大きな反応をみせた。
サスケはそこで笑った。挑発的に。
 
「おれの夢は一族復興だ。妻は1人じゃ足りないんでな。」
「サクラを愛人にする気か?」
サスケはカカシ先生の言葉に動じないで、まだ笑っている。
 
「まさか。今の妻と何人か子供作ったら、すぐにサクラを本妻にむかえるさ。」
「てめぇ、サクラをなんだと・・・!」
「それがいやなら。」
殺気がでているカカシ先生を、サスケは言葉だけで止めた。
 
「そっちも本気でくればいい・・・違うか?」
おれもカカシ先生も笑った。・・・・挑発的に。
 
「おう!サクラちゃんは絶対おれの奥さんにするってばよ!」
「女は昔から年上に憧れたりするんだよ。サクラはおれがいただく!」
「ほざいてろ。最後に笑うのはおれだ。」
 
それぞれの言葉に、それぞれ声を立てて笑った。
 
遠くから、サクラちゃんが手を振りながら走ってくる。
 
「なになに?何笑ってるのよ?」
サクラちゃんは、楽しそうに向こうから問い掛けてきた。
 
おれたちはそれを、笑顔でむかえいれた。



サクラ大好き!総受け大好き!
などと言っておきながら・・・総受けはこれが初ですね(汗
楽しかったですが、サクラの出番すくなっ!!
しかも未来ですよ。サクラ達が20なのは、お酒が飲めるようにしたかったからです。
未成年で飲んじゃぁまずいですから・・・(^^;


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