☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 幻想天華 9 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
サクラよりも早くサクラの家の前についたカカシは、降りつづける雪を見上げた。 明日には、積もるだろうか。 四年も前の事が、カカシの頭によみがえる。 もし、あの時。 サクラに『その術をつかってはいけない。』といっていたら、どうなっていただろうか? サクラは上忍・・・いや、暗部になっていただろう。 殺人のスペシャリストとして活躍しているにちがいない。 教師としては、あの答えは適切ではなかった。 受け持った生徒をいかに立派な忍びにしてやるかが、教師の役割なのだから。 だが、なぜだろうか。 カカシは何度思い出しても、どんなにサクラの活躍を思い浮かべても。 今あるサクラが、一番幸せに思えてしかたないのだった。 「らしくないな・・・。」 冷酷で任務に命をかけていた昔の自分からすると、まったくらしくない考え。 そっと言葉にして出すと、あっけないほど単純で。 その単純なつぶやきは、静かな夜によく響いた。 カカシは視線を空から前に向ける。 すぐそこに、桃色の髪をもった少女がいた。 少女は驚いた様子もなく、歩みをとめることもない。 「こんばんわ。」 片手をあげて、カカシはサクラに微笑む。 サクラも微笑んで、片手をあげかえした。 「こんばんわ。」 同じ挨拶をしてから、サクラは数歩歩いてカカシの前で止まる。 「お久しぶりです。先生。」 「久しぶり、サクラ。」 時間をかんじさせない言葉。 自然に流れ出る会話。 ほとんど無音で降りつづける雪は、4年前とも変わらない。 そんな変わらない空間の中で。 どこか大人びた、少女の表情。 2人は、4年の月日を経て、雪の中で静かに向かい合い微笑んだ。
そんなことありませんよ。そんな・・・。 『あきてきた・・・。』 なんて。そんなことないです。 いや、あきてきたのは私じゃなくて・・・。 ここまで付き合ってくれてた優しいあなたですかね・・・。はは。