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幻想天華 9

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サクラよりも早くサクラの家の前についたカカシは、降りつづける雪を見上げた。
明日には、積もるだろうか。
 
 
四年も前の事が、カカシの頭によみがえる。
もし、あの時。
サクラに『その術をつかってはいけない。』といっていたら、どうなっていただろうか?
 
サクラは上忍・・・いや、暗部になっていただろう。
殺人のスペシャリストとして活躍しているにちがいない。
 
教師としては、あの答えは適切ではなかった。
受け持った生徒をいかに立派な忍びにしてやるかが、教師の役割なのだから。
 
 
だが、なぜだろうか。
カカシは何度思い出しても、どんなにサクラの活躍を思い浮かべても。
今あるサクラが、一番幸せに思えてしかたないのだった。
 
 
「らしくないな・・・。」
冷酷で任務に命をかけていた昔の自分からすると、まったくらしくない考え。
そっと言葉にして出すと、あっけないほど単純で。
 
その単純なつぶやきは、静かな夜によく響いた。
 
カカシは視線を空から前に向ける。
すぐそこに、桃色の髪をもった少女がいた。
少女は驚いた様子もなく、歩みをとめることもない。
 
 
 
「こんばんわ。」
片手をあげて、カカシはサクラに微笑む。
サクラも微笑んで、片手をあげかえした。
 
「こんばんわ。」
同じ挨拶をしてから、サクラは数歩歩いてカカシの前で止まる。
「お久しぶりです。先生。」
「久しぶり、サクラ。」
 
 
時間をかんじさせない言葉。
自然に流れ出る会話。
ほとんど無音で降りつづける雪は、4年前とも変わらない。
 
そんな変わらない空間の中で。
どこか大人びた、少女の表情。
 
 
2人は、4年の月日を経て、雪の中で静かに向かい合い微笑んだ。

 
 


そんなことありませんよ。そんな・・・。
『あきてきた・・・。』
なんて。そんなことないです。
いや、あきてきたのは私じゃなくて・・・。
ここまで付き合ってくれてた優しいあなたですかね・・・。はは。



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