☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 幻想天華 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「あれ?」 男は目を開いた。 まず目に飛び込んできたのは、青い空。 「ここは・・・どこだ?」 頭をおさえながら上半身を起こす。 今まで自分が何をしていたのかまったく覚えていない。 ふと、目の前を小さな何かがゆっくりと通り過ぎていった。 上を見上げると、大きな桜の木。 そして、淡雪のように降りてくる桜の花びら。 気まぐれに手を出す。 輝くように美しい花びらが、いくつか手のひらの上に舞い降りてきた。 周りを見渡すと、今までに気がつかなかった物が多く目に入ってくる。 自分が座り込んでいる緑の草花。 頭上で雄大に咲き誇る桜の木。降り散る花びら。 数メートル先をながれる、細い小川。 驚くほど過ごしやすい気候は暖かく、時々爽やかな風が通り過ぎてゆく。 「綺麗だな・・・。」 思わず口にでた言葉に、偽りはない。 男は桜と空を仰ぎ見るようにして寝転がる。 こんなにゆったりとした気持ちは初めてだった。 「・・・?」 後ろに、人の気配を感じて振り返る。 そこに立っていたのは、男の最愛の女。 男は不思議に思わなかった。 こんなに綺麗なところなのだ。彼女がいても、おかしくない。 居心地のよいところには、安心できるところには、彼女がいて自然なのだ。 男は微笑んで女に手を差し伸べる。 女も笑ってその手に自分の手をかさねた。 「眠ろう。」 男はすごく眠かった。 優しい声でそう囁くと、女も自分の隣りに横になる。 「眠ろう。」 もう一度言って、女を抱きしめる。 温かさが伝わって、ため息がでるような、涙がでるような感覚が込み上げてくる。 「幸せだなあ。」 男の言葉は、小さく響き渡る。 そのまま目を閉じて男は眠った。 桃色の淡い桜が、男を見守るように静かに揺れていた。 「サクラ。」 サスケは印を唱え終わったサクラに声をかけた。 サクラは声に振り返り、微笑む。 「何してたんだ?」 「幻術だよ。」 「・・・何のために?」 あっさりと答えるサクラに、サスケは疑わしそうに首をかしげた。 「幻術は、敵を惑わせるためにある物だろう。」 「うん。」 「ここに敵はいないぜ。」 サスケはそういいながら周りを見渡す。 辺りには、無数の死体。 「全部、おれが殺したんだからな。」 「うん。」 サクラは困ったような顔で頷いた。 サスケはまだ眉をひそめていたが、サクラは何も言わない。 多分これからも何も言いそうにないので、仕方なく踵をかえす。 今日はAランクの任務だった。 サスケは暗部に入っているのでAランクの任務も当然だ。 だが、サクラは中忍だった。 本来ならついてくることさえ危険なのだが、サクラがどうしてもいうので連れてきた。 初めてのことではない。 大分前から大量に殺人をする場合には、常にサクラも一緒になっていた。 最初のうちは火影も危険だと止めていた。 だが最近では、なぜか火影からも進んでサスケと行くように命じる。 サスケはその理由をしらなかったが、あまり気にはしなかった。 サスケが歩くと、サクラも後を追うようについてくる。 サクラはこういう任務のあと、口をきかない。 いつもの明るく、何かしらしつこく話し掛けてくるサクラとはまるで違う。 今だけ見れば、サクラはまるで無口な女のようだった。 「それじゃ、ばいばい。」 「ああ。じゃあな。」 角までくると、サクラは自分の家へと向かう道を歩き出す。 おれは報告書を提出しなければならないので、そのまま前を進んだ。 数歩歩いてから、何の気なしにサクラの方を見てみる。 サクラはじっと空をみあげていた。 つられるようにサスケも空を見ると、雪が降り出していた。 今は、12月。 もしかしたら、今年で最後の雪になるかもしれない。 だがあまり関心のないサスケは、すぐに前をみて歩き始めた。 サクラは、黙って雪の一つ一つを見つめていた。
まだ、どういう話しかよくわからないですね・・・(汗) 本当はこれ、サクラちゃんとサスケが出てくる前までが『1』だったんですが・・・。 短すぎるし意味わかんないかなーと思ってやめました。 とりあえず、続きます。