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幻想天華

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「あれ?」
 
男は目を開いた。
まず目に飛び込んできたのは、青い空。
 
 
「ここは・・・どこだ?」
頭をおさえながら上半身を起こす。
今まで自分が何をしていたのかまったく覚えていない。
 
ふと、目の前を小さな何かがゆっくりと通り過ぎていった。
上を見上げると、大きな桜の木。
そして、淡雪のように降りてくる桜の花びら。
 
気まぐれに手を出す。
輝くように美しい花びらが、いくつか手のひらの上に舞い降りてきた。
 
 
周りを見渡すと、今までに気がつかなかった物が多く目に入ってくる。
 
自分が座り込んでいる緑の草花。
頭上で雄大に咲き誇る桜の木。降り散る花びら。
数メートル先をながれる、細い小川。
驚くほど過ごしやすい気候は暖かく、時々爽やかな風が通り過ぎてゆく。
 
 
「綺麗だな・・・。」
思わず口にでた言葉に、偽りはない。
男は桜と空を仰ぎ見るようにして寝転がる。
こんなにゆったりとした気持ちは初めてだった。
 
「・・・?」
後ろに、人の気配を感じて振り返る。
そこに立っていたのは、男の最愛の女。
 
 
男は不思議に思わなかった。
こんなに綺麗なところなのだ。彼女がいても、おかしくない。
居心地のよいところには、安心できるところには、彼女がいて自然なのだ。
 
 
男は微笑んで女に手を差し伸べる。
女も笑ってその手に自分の手をかさねた。
 
 
「眠ろう。」
男はすごく眠かった。
優しい声でそう囁くと、女も自分の隣りに横になる。
 
 
「眠ろう。」
もう一度言って、女を抱きしめる。
温かさが伝わって、ため息がでるような、涙がでるような感覚が込み上げてくる。
 
 
「幸せだなあ。」
男の言葉は、小さく響き渡る。
そのまま目を閉じて男は眠った。
 
 
桃色の淡い桜が、男を見守るように静かに揺れていた。
 
 
 
 
 
 
 
「サクラ。」
 
サスケは印を唱え終わったサクラに声をかけた。
サクラは声に振り返り、微笑む。
 
「何してたんだ?」
「幻術だよ。」
「・・・何のために?」
 
 
あっさりと答えるサクラに、サスケは疑わしそうに首をかしげた。
「幻術は、敵を惑わせるためにある物だろう。」
「うん。」
「ここに敵はいないぜ。」
 
 
サスケはそういいながら周りを見渡す。
辺りには、無数の死体。
 
 
「全部、おれが殺したんだからな。」
「うん。」
サクラは困ったような顔で頷いた。
 
 
サスケはまだ眉をひそめていたが、サクラは何も言わない。
多分これからも何も言いそうにないので、仕方なく踵をかえす。
 
 
 
今日はAランクの任務だった。
サスケは暗部に入っているのでAランクの任務も当然だ。
だが、サクラは中忍だった。
 
本来ならついてくることさえ危険なのだが、サクラがどうしてもいうので連れてきた。
初めてのことではない。
大分前から大量に殺人をする場合には、常にサクラも一緒になっていた。
 
 
最初のうちは火影も危険だと止めていた。
だが最近では、なぜか火影からも進んでサスケと行くように命じる。
サスケはその理由をしらなかったが、あまり気にはしなかった。
 
 
 
 
サスケが歩くと、サクラも後を追うようについてくる。
サクラはこういう任務のあと、口をきかない。
いつもの明るく、何かしらしつこく話し掛けてくるサクラとはまるで違う。
 
今だけ見れば、サクラはまるで無口な女のようだった。
 
 
「それじゃ、ばいばい。」
「ああ。じゃあな。」
角までくると、サクラは自分の家へと向かう道を歩き出す。
おれは報告書を提出しなければならないので、そのまま前を進んだ。
 
 
数歩歩いてから、何の気なしにサクラの方を見てみる。
サクラはじっと空をみあげていた。
つられるようにサスケも空を見ると、雪が降り出していた。
 
今は、12月。
もしかしたら、今年で最後の雪になるかもしれない。
だがあまり関心のないサスケは、すぐに前をみて歩き始めた。
 
 
サクラは、黙って雪の一つ一つを見つめていた。





まだ、どういう話しかよくわからないですね・・・(汗)
本当はこれ、サクラちゃんとサスケが出てくる前までが『1』だったんですが・・・。
短すぎるし意味わかんないかなーと思ってやめました。
とりあえず、続きます。



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