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Eternita

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この炎は、消えない。

この輝きは、くもらない。

この彩りは、色褪せない。




この愛は、終わらない。











「・・・・・・。」
ぼんやりした頭をゆっくりと起こす。
どうやら1時間ほど眠ってしまっていたらしい。


小さく欠伸をしてから、ふと腕の上にある重みにに気がつく。
それから、少女の存在を思い出した。
少女は無防備に仰向けになり、自分の右腕の腕に頭をのせている。


思わず小さな笑いが出た。
自分の腕に桃色の髪が広がっている。


「サクラ。」


愛しい少女の名前を呼びながら、頭をなでてやる。
小さな頭と、柔らかい髪の感触。


少女はその動作に、小さく反応をしめした。
しかしすぐにまた寝息をたてる。


男はそんな少女の額に顔を近づけ、そっと口づけをした。
それでも少女が起きないと、男は幸せそうに微笑む。


窓の外から、温かい光が射し込んでいた。
青い空がこれでもかというほど目にしみる。
男は大きく息を吸い込んだ。


慣れ親しんだ自分の部屋。
温かい日差し。


そして、よこにいる少女の香り。



『永遠』という言葉は、男が一番嫌いであった言葉だ。
なんの根拠のない言葉。
自分には必要のない言葉。


『永遠』に魅せられた者達を、男は何人も見てきた。
彼らは『永遠』に憧れるあまり、死をおそれて、臆病になっている。
傷つくことを恐れて、逃げ回っていた。


男にはそれが理解できなかった。
自分に『永遠』など必要ない。
必要なのは『今』、生きるか死ぬか。
それだけだった。


それが、少女と出会ってから変わってしまった。
少女は『永遠』に夢をみていた。
それと同時に、『永遠』を守ろうと戦っていた。


その姿が、驚くほど眩しくて。


気がついたら、自分も同じになっていた。
『永遠』に焦がれている。


少女がずっとそばにいる『永遠』を。


守りたい。
少女を、この『永遠』を守りたい。
だから自分は、そのためにならなんでもするだろう。


すべては、『永遠』のため。
『己』の幸せのため。
目の前で眠る少女との『今』のために。


「守らせてくれよ。」


小さく少女に呟いてから、再び横になる。
相変わらず眠る少女を見つめてから、目を閉じた。


男は、『永遠』を夢見て眠る。










少女はゆっくりと目をあけた。
まず目に入ったのは、天井だった。
いつもとは違う、木目の天井。


体をよじって、横でねむる存在に気がついた。
幸せそうな表情でいる男。


少女の顔に笑みが広がる。
世界中で一番愛しい彼。


「カカシ先生。」


優しく呼びかけてから、慌てて口をふさぐ。
起こしてしまっただろうか?


しかし、男はなおも眠りつづける。
少女はほっと胸を撫で下ろしてから男を見つめる。


そして、閉じられた瞼の中の男の瞳を思う。
その目は以前、自分をうつしてはくれなかった。


男が見るのは、自分とはまったく違うものばかりだった。
 
 
『死』『恐怖』『力』


男がみているのは、いつでもそれらであった。
少女にそれは耐えられなかった。


彼がそれを見つづけることに我慢できない。
必死に自分を見てもらおうと努力した。
昔と比べて、強くもなった。


そんなある日、男が自分に問い掛けてきた。


「『永遠』を信じるか?」


すぐに、首を縦に振ってしまった。
答えと合わせようなどとは、考えていなかった。


あまりにも素直な少女に、男は一瞬驚いたようだ。
それから、ゆっくりと微笑んでくれた。


「そうか。」


嬉しかった。
その時男は、初めて自分を見てくれた。


たったその一言が聞きたくて。
その瞳にうつしてもらいたくて。


気がつくと、想いが溢れ出していた。


少女はその夜、泣きつづけた。
涙は止まらなかった。
なぜなら、幸せだったから。


男に聞かれた問い。
少女は今まで、そのために生きてきた。


誰かにわかってほしかったのかもしれない。
自分が戦うのは、『永遠』を守るためであると。
『永遠』を続かせることに夢見ていると。


男がそれを尋ねてくれた。
それだけで、幸せだった。


少女はそっと眠る男の左眼を見る。
大きくつけられた傷跡。
痛々しい戦闘の痕だった。



少女は男の瞼に顔を近づけ、そっと口づけをした。
それでも男が起きないと、少女は幸せそうに微笑む。


前とは違う事がいくつかある。
一つは、男がそばにいてくれること。
もう一つは、力を求める理由がかわったこと。


すべては、『永遠』のため。
『己』の幸せのため。
目の前で眠る男との『今』のために。


「守らせてね。」


小さく男に呟いてから、再び横になる。
少女は、『永遠』を夢見て眠る。













この炎は、消えない。

この輝きは、くもらない。

この彩りは、色褪せない。




この愛は、終わらない。













二人を取り巻くすべてのものが、『永遠』というルールで動く。




題名の『Eternita』。
これはイタリア語で『永遠』の意味です。
そのまんまですね(笑)

本当は最後の『a』の上には点?みたいなのがついてるはずなんですが・・・。
私のパソコンではできなかった・・・。

ちなみにこれが、私の中でできる精一杯のラブラブです。


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