☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ Eternita ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この炎は、消えない。 この輝きは、くもらない。 この彩りは、色褪せない。 この愛は、終わらない。 「・・・・・・。」 ぼんやりした頭をゆっくりと起こす。 どうやら1時間ほど眠ってしまっていたらしい。 小さく欠伸をしてから、ふと腕の上にある重みにに気がつく。 それから、少女の存在を思い出した。 少女は無防備に仰向けになり、自分の右腕の腕に頭をのせている。 思わず小さな笑いが出た。 自分の腕に桃色の髪が広がっている。 「サクラ。」 愛しい少女の名前を呼びながら、頭をなでてやる。 小さな頭と、柔らかい髪の感触。 少女はその動作に、小さく反応をしめした。 しかしすぐにまた寝息をたてる。 男はそんな少女の額に顔を近づけ、そっと口づけをした。 それでも少女が起きないと、男は幸せそうに微笑む。 窓の外から、温かい光が射し込んでいた。 青い空がこれでもかというほど目にしみる。 男は大きく息を吸い込んだ。 慣れ親しんだ自分の部屋。 温かい日差し。 そして、よこにいる少女の香り。 『永遠』という言葉は、男が一番嫌いであった言葉だ。 なんの根拠のない言葉。 自分には必要のない言葉。 『永遠』に魅せられた者達を、男は何人も見てきた。 彼らは『永遠』に憧れるあまり、死をおそれて、臆病になっている。 傷つくことを恐れて、逃げ回っていた。 男にはそれが理解できなかった。 自分に『永遠』など必要ない。 必要なのは『今』、生きるか死ぬか。 それだけだった。 それが、少女と出会ってから変わってしまった。 少女は『永遠』に夢をみていた。 それと同時に、『永遠』を守ろうと戦っていた。 その姿が、驚くほど眩しくて。 気がついたら、自分も同じになっていた。 『永遠』に焦がれている。 少女がずっとそばにいる『永遠』を。 守りたい。 少女を、この『永遠』を守りたい。 だから自分は、そのためにならなんでもするだろう。 すべては、『永遠』のため。 『己』の幸せのため。 目の前で眠る少女との『今』のために。 「守らせてくれよ。」 小さく少女に呟いてから、再び横になる。 相変わらず眠る少女を見つめてから、目を閉じた。 男は、『永遠』を夢見て眠る。 少女はゆっくりと目をあけた。 まず目に入ったのは、天井だった。 いつもとは違う、木目の天井。 体をよじって、横でねむる存在に気がついた。 幸せそうな表情でいる男。 少女の顔に笑みが広がる。 世界中で一番愛しい彼。 「カカシ先生。」 優しく呼びかけてから、慌てて口をふさぐ。 起こしてしまっただろうか? しかし、男はなおも眠りつづける。 少女はほっと胸を撫で下ろしてから男を見つめる。 そして、閉じられた瞼の中の男の瞳を思う。 その目は以前、自分をうつしてはくれなかった。 男が見るのは、自分とはまったく違うものばかりだった。 『死』『恐怖』『力』 男がみているのは、いつでもそれらであった。 少女にそれは耐えられなかった。 彼がそれを見つづけることに我慢できない。 必死に自分を見てもらおうと努力した。 昔と比べて、強くもなった。 そんなある日、男が自分に問い掛けてきた。 「『永遠』を信じるか?」 すぐに、首を縦に振ってしまった。 答えと合わせようなどとは、考えていなかった。 あまりにも素直な少女に、男は一瞬驚いたようだ。 それから、ゆっくりと微笑んでくれた。 「そうか。」 嬉しかった。 その時男は、初めて自分を見てくれた。 たったその一言が聞きたくて。 その瞳にうつしてもらいたくて。 気がつくと、想いが溢れ出していた。 少女はその夜、泣きつづけた。 涙は止まらなかった。 なぜなら、幸せだったから。 男に聞かれた問い。 少女は今まで、そのために生きてきた。 誰かにわかってほしかったのかもしれない。 自分が戦うのは、『永遠』を守るためであると。 『永遠』を続かせることに夢見ていると。 男がそれを尋ねてくれた。 それだけで、幸せだった。 少女はそっと眠る男の左眼を見る。 大きくつけられた傷跡。 痛々しい戦闘の痕だった。 少女は男の瞼に顔を近づけ、そっと口づけをした。 それでも男が起きないと、少女は幸せそうに微笑む。 前とは違う事がいくつかある。 一つは、男がそばにいてくれること。 もう一つは、力を求める理由がかわったこと。 すべては、『永遠』のため。 『己』の幸せのため。 目の前で眠る男との『今』のために。 「守らせてね。」 小さく男に呟いてから、再び横になる。 少女は、『永遠』を夢見て眠る。 この炎は、消えない。 この輝きは、くもらない。 この彩りは、色褪せない。 この愛は、終わらない。 二人を取り巻くすべてのものが、『永遠』というルールで動く。
題名の『Eternita』。 これはイタリア語で『永遠』の意味です。 そのまんまですね(笑) 本当は最後の『a』の上には点?みたいなのがついてるはずなんですが・・・。 私のパソコンではできなかった・・・。 ちなみにこれが、私の中でできる精一杯のラブラブです。